ネイバーがDunamuを買収でアップビット(Upbit)の経営権取得へ
NAVERのフィンテック部門であるNAVERファイナンシャルは、韓国の大手仮想通貨取引所Upbitを運営するDunamuを株式交換により完全子会社化する見込みだ。
韓国大手の検索・Eコマースプラットフォームであるネイバー(NAVER Corp.)は、包括的な株式交換を通じて仮想通貨取引所アップビット(Upbit)親会社であるDunamuを買収する手続きを進めている。買収完了後、アップビットはネイバー傘下の子会社として運営される。なお、両社はすでに統合管理のためのタスクフォースを結成済だ。
今年(2025年)7月、アップビットとネイバー・ペイ(Naver Pay)は、韓国の規制の進展とウォン建てステーブルコインに対する政府の支援拡大を受け、収益性向上と韓国のデジタル資産政策への影響を目的に、韓国ウォン建てステーブルコインの発行に向けて戦略的提携を締結している。翌8月にはアップビットとベトナムのMB銀行が提携し、ベトナム初の国内仮想通貨取引所を設立することで、国際展開を進めている。
同社は、2024年に成立したVAUPA(仮想通貨利用者保護法)の規制対象となる韓国のVASP(仮想通貨サービスプロバイダー)枠組みの下で事業を展開している。一方で同社は今年初め、FIU(金融情報機関)から3カ月間の業務停止処分を受け、新規顧客の登録が停止された後、同社は事業を再開し、ユーザーとの信頼関係の再構築に努めている。
ネイバーは仮想通貨ポートフォリオを強化
ネイバーにとって仮想通貨への初参入ではなく、同社は2024年8月、チリーズ(Chiliz)ブロックチェーンと連携し、初の仮想通貨ウォレット「NAVER Pay Wallet」をリリースした。
この非管理型ウォレットは、テクノロジーに精通した韓国人がデジタル資産を管理し、NFT(非代替性トークン)を保管できるようにすることを目的にリリースされている。
カカオ(Kakao)との競争に直面
今回の買収は、Klaytnブロックチェーンと広く利用されているメッセージングアプリカカオトーク(KakaoTalk)の運営会社であるカカオ(Kakao)とネイバーの競争に新たな様相を呈する事が予想されている。
カカオは従来のウェブサービスとブロックチェーンの連携に長年取り組んできたが、ネイバーは大手の仮想通貨取引所の買収により、取引、保管、決済の規模を即拡大できる。
ネイバーは、ウェブサービス全体で国内ユーザー4,000万人以上を抱えており、アップビットとネイバーペイウォレットを通じてそのユーザー層をデジタル資産に誘導できる環境にある。