ステーブルコインUSDTが日常決済でベネズエラのボリバルを追い抜く可能性

ベネズエラでUSDTの採用が急増

229%のハイパーインフレで苦しむベネズエラで、ステーブルコインが日常決済でボリバルに取って代わり、USDTの採用が急増している。

インフレ率が229%に達する中、ステーブルコインUSDTがベネズエラのボリバルに取って代わる可能性が急浮上している。テザー(Tether/USDT)は価格の安定性と流動性を提供し、給与の支払い、食料品、商店の決済と言った、日常におけるさまざまな支払いをステーブルコイン建てで行うことを可能にし、USDTのようなステーブルコインは、ベネズエラの日常決済に広く利用されている。

ベネズエラは複数の米ドル為替レートを報告しており、バイナンス(Binance)のUSDTはしばしば市場の価格形成を左右するほどで、崩壊しつつある金融システムの中で生き残るために奮闘する何百万人もの人々にとって、事実上の通貨となっている。

かつては仮想通貨に精通したユーザーに限定されていた、現地では「バイナンスドル」と呼ばれることが多いUSDTは、現在では食料品やマンションの家賃から給与や業者への支払いまで、ベネズエラ全土で広く利用されていると、2018年にベネズエラから逃亡した、Lednの共同創設者を務めたマウリシオ・ディ・バルトロメオ(Mauricio Di Bartolomeo)氏が大手メディアのコインテレグラフに語っている。

ベネズエラの国営通貨ボリバルは、日常の商取引ではほとんど使われていない背景には、ハイパーインフレ、厳格な資本規制、不安定な為替レート環境といった問題により、現金や現地銀行送金よりもステーブルコインが好まれるようになっているのが現状だ。実際、現在のベネズエラでは、米ドルのレートが中央銀行の公式レート、並行市場レート、バイナンスのUSDtレートの3種類損存在する。

ベネズエラでUSDTが拡大している理由

ベネズエラにおけるUSDTの導入は、USDTステーブルコインが交換手段および計算単位として広く利用されていることを意味している。

現在のベネズエラでは、日々の取引における価値の維持と流動性確保を理由に、商品の価格設定や支払いの受け取りにUSDTを使用するケースが増えており、ボリバルは、日常の商取引ではほとんど使われていない。家主や商店などのサービス提供者は、価格をUSDまたはUSDTで提示し、食料品、マンション管理費、給与、ベンダーサービスの支払いにステーブルコインを受け入れている。一方の支払う側についても、ボリバルや制限のある銀行振込に比べて流動性が高く、決済の速さを理由にUSDTを好んでいる。

資本規制が人々をステーブルコインへと向かわせる訳とは

政府による資本規制は、公式の米ドルへのアクセスを制限し、外貨とデジタル資産の並行市場を生み出しており、公式の米ドル配分は、政治的に繋がりのある企業に振り分けられ、より高い並行レートでドルが転売されていると報じられている。

その結果、経済主体はボリバルを避け、価値を維持するためにステーブルコインで取引をしており、バルトロメオ氏は次のように語っている。

資本規制は、経済主体が価値のない現地通貨を支払い手段として受け入れることを拒否するため、現金とステーブルコインの並行市場も生み出します。もし渋々受け入れたとしても、彼らは急いでステーブルコインや米ドルに交換しようとします。石油会社やその他の業界も、ステーブルコインへの転換を加速させており、伝えられるところによると、限られた数の地元銀行が規制を回避するために一部の企業にボリバルと引き換えにUSDTを販売し始めています。

記事参照:Cointelegraph 

 

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