バイナンスのジャオ・チャンポン氏、CBDCは「時代遅れ」と断言

ジャオ・チャンポン氏がCBDCを「時代遅れ」と断言

バイナンス(Binance)のジャオ・チャンポン(趙長鵬:Zhao Changpeng)氏は、昨今のステーブルコインの台頭でCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)は「時代遅れ」と断言した。

デジタル通貨は金融市場においてますます重要性を増す中で同氏は、CBDCは時代遅れと断言する一方、ステーブルコインは世界的に注目を集めている。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米国大統領によるCBDC禁止や各国のプロジェクト停止は、世界的な後退を浮き彫りにしている。現在、ステーブルコイン市場は2,500億ドル(約37兆円)に達し、2028年までに2兆ドル(295.7兆円)に達すると予測されている。

2025年8月25日(月曜日)に東京で開催されたWebXカンファレンスの基調講演でジャオ氏、は各国がデジタル通貨、特にステーブルコインに対する姿勢をどのように変化させてきたかを強調した。法定通貨に裏付けられた資産を中心とした規制枠組みの出現に見られるように、政府がステーブルコインを受け入れる世界的な潮流を指摘しており、香港のステーブルコイン条例や米国のGENIUS法などがその最たる例だ。実際同氏は、CBDCはステーブルコインの普及加速を背景に勢いを失い、強力な競合相手と比較して時代遅れになっているとさえ述べており、講演の中で次のように述べている。

中央銀行発行のデジタル通貨はすでに時代遅れだ。対照的に、ステーブルコインはより注目を集めている。

同氏は講演の中で、中央銀行発行のデジタル通貨よりもステーブルコインを利用するメリットを強調しており、ステーブルコインは「実質的な担保とサポート」に裏付けられているため、より広範な市場に受け入れられる可能性が高いという。さらに、デジタル通貨に強く反対していた一部の国が、ステーブルコインの台頭を受けて姿勢を軟化させ始めていると指摘した。

次々と撤退していくCBDCプロジェクト

CBDCは2013年から2014年にかけていくつかの国で試みられたが、需要不足のためほとんどのプロジェクトは長続きせず、実際に導入に至ったのはごくわずかだった。

一方で同氏は、ステーブルコインが広く受け入れられているのは、実物資産に裏付けられ、より多くの取引を可能にするためだと指摘している。実際、いくつかの国はCBDC導入計画を中断または断念している。2025年1月にトランプ大統領は、米国の機関によるCBDCの発行と使用を禁止する大統領令に署名し、連邦政府によるデジタルドルに関する研究を事実上停止させた。

韓国銀行は6月、参加銀行とのパイロットプログラム開発段階にあったCBDCプロジェクトを一時停止。日本をはじめ、デンマークやフィンランド、シンガポールもCBDCプロジェクトから撤退している。

2013年または2014年から2020年代にかけて、CBDCに焦点を当てたさまざまなプロジェクトの実験が開始したことを指摘されたものの、ステーブルコインが市場で爆発的に普及した後、これらのプロジェクトはすぐに忘れ去られてしまっている。韓国、シンガポール、デンマーク、日本、フィンランド、米国などの国々は、CBDCのパイロットプロジェクトを一時停止または終了すると発表。その理由として、多くの国が、高コスト、テスト段階の難しさ、小売業でのユースケースの不足などを中止の理由として挙げているのが現状だ。

ただし、一部の国がCBDCプロジェクトを一時停止する一方でECB(欧州中央銀行)は、時代の流れに逆らうような形で、2025年10月までにデジタルユーロを導入する準備を進めている。

2兆ドル規模のステーブルコイン

コンサルティング企業最大手のMcKinsey(マッキンゼー)によると、ステーブルコインの発行総額は18カ月で倍増し、2,500億ドルに達し、2028年までに2兆ドルに達すると予測されています。

世界の送金総額の1%未満に過ぎないものの、ステーブルコインは急速に成長しており、10年以内に従来の決済手段を上回る可能性もささやかれている。即時決済、低い運用リスク、グローバルなアクセスを提供するというステーブルコインの強みは、送金市場と資本市場の両方にとって魅力的なものとなっている。

 

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