フィリピン政府、ポリゴン活用で財政透明性を強化

フィリピン国旗を背景にブロックチェーンのノードとポリゴンのロゴが描かれたデジタルイメージ

フィリピン予算管理局が公的資金の追跡と検証にブロックチェーンを導入

フィリピン政府は、国家予算や公的文書の透明性向上を目的に、ポリゴンブロックチェーンを活用した文書追跡・検証システムを導入した。

プロジェクトはDBM(予算管理局)と現地のブロックチェーン企業BYC(Bayanichain)の協力によって推進されている。

ブロックチェーンによる文書管理と不正防止

新システムは、予算関連文書の正当性を保証し、改ざんを防ぐことを目的に設計され、SARO(特別割当リリース命令)やNCA(資金配分通知)などの文書がポリゴンネットワーク上に記録され、外部監査機関や市民がリアルタイムで確認できる。

DBMは、地元企業BYCと連携し、Lumen Blockchain-as-a-Serviceプラットフォームを通じて主要な予算文書をオンチェーン化した。DBMの内部アクション文書リリースシステム(ADRS)とBYCのブロックチェーンゲートウェイが統合され、Prismoプロトコルにより公開可能な情報のみが選別されて記録される。

検証方法とシステムの仕組み

文書はハッシュ化され、改ざんが行われていないことを証明する形でブロックチェーンに記録される。

ユーザーは、専用ポータル「blockchain.dbm.gov.ph」上で文書番号やQRコードを用いて情報を検索・検証できる。一度記録されたデータは削除・変更ができず、透明性と説明責任を支える仕組みとなっている。BYCのポール・ソリマン(Paul Soliman)CEO(最高経営責任者)は「このシステムは税金の適切な使途を保証する」とコメントしている。Polygon Labsも「フィリピン政府の予算はオンチェーンで公証された」とX上で発表した。

ポリゴン障害と政府の姿勢

このプロジェクトが正式に始動したタイミングで、ポリゴンネットワークはHeimdall v2メインネットのバグにより一時的な障害が発生した。

Borレイヤーは稼働を継続していたが、ブロックチェーンエクスプローラーなど一部サービスに影響が出た。問題は約3時間半で解消され、影響は限定的だった。フィリピン政府はこの障害にもかかわらず導入を継続。透明性と説明責任の向上が、分散型ネットワークに伴うリスクを上回るとの判断を示した。

公共ガバナンスにおけるブロックチェーンの活用

この検証システムは、現地のWeb3企業BYCによって構築された。ハッシュを通じて文書の真正性を確認でき、公開情報と機密情報の適切な管理が可能となる。

マリア・フランチェスカ・デル・ロサリオ(Maria Francesca Del Rosario)次官は、「AI、ブロックチェーン、衛星画像といった最先端技術を活用し、公共政策とガバナンスの強化に取り組んでいる」と述べ、今回の導入を偽情報時代における行政の信頼回復の一手と位置付けた。

BYCのポール・ソリマン(Paul Soliman)テクニカルリーダー兼CEOも「この協力は、公共財政の透明性と説明責任の先例となる」と語っている。

デジタル国家への展望

今回導入されたシステムは、現在SAROとNCAに対応しているが、将来的には調達契約、在庫管理、リアルタイム監査などへの拡張も計画されている。

この取り組みにより、フィリピンはアジアで初めてパブリックブロックチェーンを政府予算管理に活用した国の一つとなった。行政の透明性と信頼性を担保するデジタル・ガバナンスのモデルとして、国際的な注目を集めている。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム