元バイナンス幹部がモスクワで詐欺容疑で逮捕される
仮想通貨プロジェクトBlum(ブルーム)の共同創業者であり、元バイナンスCISO(最高情報セキュリティ責任者)地域責任者を務めたウラジミール・スメルキス(Vladimir Smerkis)氏が、モスクワで詐欺容疑により拘束された。
Blumはすでに同容疑者との関係を解消しており、プロジェクトの信頼性や今後の展開に注目が集まっている。ロシア当局は、同容疑者を詐欺容疑で拘束したと報じている。拘留命令は今週初めにくだされたとされ、T2E(Tap-to-Earn:タップして稼ぐ)型プラットフォームに対する監視が強まる中での動きとなった。
We would like to inform our community that Vladimir Smerkis has stepped down from his role as CMO and is no longer involved in the development of the project or in any co-founder capacity.
— Blum (@blumcrypto) May 17, 2025
ウラジミール・スメルキスがCMOの役職を退任し、プロジェクトの開発や共同設立者としての立場には関与しなくなったことをコミュニティにお知らせします。
Blumは公式X上で、同容疑者がCMO(最高マーケティング責任者)の職を辞任し、すでにプロジェクトへの関与をすべて終了していることを明らかにし、信頼回復と通常業務の継続を強調したうえで、同社は次のように述べている。
当社はユーザーに安全で楽しい体験を提供することに尽力しています。
仮想通貨業界では近年、企業幹部による不正行為が相次いでおり、個人的な利益追求や組織的なガバナンス不備が問題視されている。こうした事件の増加を受け、ユーザーの間でも警戒感が高まっている。
タップ・トゥ・アーン市場の急成長とBlumの立ち位置
Blumは、ユーザーが画面を繰り返しタップすることでデジタルトークンを獲得できるT2E型のゲームモデルを採用し注目を集め、プレイヤーは降り注ぐ雪の結晶をタップしてゲーム内通貨を集め、それを現実の通貨と交換できる仕組みを特徴としている。
2024年に「ハムスターコンバット(Hamster Kombat)」が大ヒットしたことで、このジャンルは急速に広まり、多くの派生プロジェクトが登場。現在、T2E市場の時価総額は現在約5億1,100万ドル(約741.7億円)に達しており、今後の成長性に期待が集まっている。だし、報酬目的のユーザーが大半を占める構造上、コミュニティの定着性やゲーム性には課題が残るとの指摘もある。広告収益や課金誘導を中心とした短期志向のモデルは、持続可能なプロジェクト形成には向かないとの見方も出ている。
Blumの初動対応と規制対応の強化
こうした姿勢は、ネガティブなイメージの払拭(ふっしょく)とともに、ユーザーとの信頼関係を維持する上で重要な一手といえる。
今後、T2E型ゲームの成長とともに、業界全体での規制強化や枠組みの整備が求められる。市場アナリストは、こうした規制の明確化がユーザー保護につながるだけでなく、Blumのような革新的なプラットフォームの信頼性向上にも貢献すると指摘している。Blumの今後の動向は、同様の報酬型モデルを採用する仮想通貨プロジェクト全体にとっても、健全な市場形成に向けた試金石となりそうだ。