ロシア中央銀行、CBDCデジタルルーブルの導入を延期
ロシアの中央銀行にあたるロシア連邦中央銀行(Central Bank of Russia)は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)であるデジタルルーブルの大量導入を延期した。
当局はパイロットプログラムの改良に取り組み、銀行とその顧客のための強固な経済枠組みを確保しようとしている。
国営通信社TASSの報道によると、同銀行は当初、2024年7月1日までに広範囲に導入する計画であったが、当局は現在、パイロットプログラムの改良に取り組み、銀行とその顧客のための強固な経済枠組みを確保するため、パイロット段階を延長することを決定。プロジェクトはまだ進行中だが、2025年2月27日(木曜日)に開催されたロシア銀行協会の年次総会で、同銀行のエルビラ・ナビウリナ(Elvira Nabiullina)総裁は、次の段階に進む前に徹底的なテストと金融機関との協議が必要であることを強調したうえで、次のように述べた。
延期に至る背景
デジタルルーブルのパイロットは2023年8月に開始され、15の銀行と特定の顧客が関与しているほか、合計で1,700人の個人と30の企業がプロジェクトに参加。
テストされている主な機能には、デジタルウォレット管理、資金移動、自動支払いなどがある。中央銀行はこのプロジェクトに注力しているが、ロシアの金融システムとのスムーズな統合を確実にするために慎重なアプローチを取っている。同銀行の2020年の諮問(しもん)文書では、デジタルルーブルは従来の現金および非現金ルーブルに取って代わるのではなく、それらを補完するものになると述べられている。このアプローチは、CBDC採用における世界的な傾向と一致しており、中国など一部の国はより積極的な姿勢を取っている。
ここで注目しておきたいのは、ロシア最大の銀行であるズベルバンク(Sberbank:ロシア貯蓄銀行)が2024年9月、2025年初頭までにデジタルルーブルを顧客に提供し始めることを確認したことだ。ズベルバンクのアナトリー・ポポフ(Anatoly Popov)副最高経営責任者は、同銀行が約20の他の金融機関とともにロシア中央銀行のテストプログラムの第2フェーズに参加すると述べたと報じられている。