WazirXのハッキング被害者賠償計画がシンガポール裁判所で承認

仮想通貨取引所が盗難資産を補填するイメージイラスト

WazirXハッキング被害者賠償計画が裁判所で承認される

インドの大手仮想通貨取引所であるWazirXが、ハッキングによる被害者に対し、2億3,500万ドル(約365.6億円)相当の賠償を行う計画をシンガポール裁判所に承認された。

日本語訳:
計画会議の裁判所承認が承認されました
シンガポール高等裁判所が、計画会議の開催許可を当社に与えたことをお知らせいたします。これは、純流動性プラットフォーム資産の分配とWazirXプラットフォームの再起動に近づく中で、再編プロセスにおけるもう1つの重要な節目となります。
次のステップ…

この動きは、同取引所が信頼回復と顧客保護に向けた具体的な一歩を示したものとされている。当NEXTMONEYの2024年7月19日付特集記事「仮想通貨取引所WazirX、サイバー攻撃で2億3000万ドルの損失」で報じたように、同取引所は大規模なハッキング被害に見舞われ、顧客資金2億3,500万ドルが失われた。この事件により、多くの顧客がパニック状態に陥り、資金を引き出そうとする動きが相次いだ。被害の規模は業界全体に大きな衝撃を与え、WazirXの信頼性は大きく損なわれた。

同取引所は混乱を防ぐため、すべての取引と引き出しを一時凍結する決断を下した。さらに、親会社のZettaiがシンガポールに本社を置いている関係で、同取引所は賠償を進めるためにシンガポール裁判所の承認を得る必要があった。この承認は、計画実行の基盤を築くための重要なステップとなった。

リカバリトークンによる返金措置

シンガポール裁判所が承認した賠償計画には、RT(リカバリトークン)の発行を通じて顧客への返金を支援する措置が含まれる。

RTは、各顧客が失った資金の割合に基づいて配布され、盗難資産や非流動資産の回収進展に応じて利益を得る仕組みだ。計画によると、WazirXは2,800万ドル(約43.5億円)相当の流動資産を解放し、これを全顧客にRTとして割り当てる。このトークンはスキーム期間中に債権者に返還され、必要に応じて会社が買い戻すプロセスも含まれている。さらに、資産の回収が進むにつれて、RTの価値が増加する可能性があり、顧客にとって魅力的なインセンティブが提供されている。

裁判所は計画の透明性と実効性を評価した上で承認をし、顧客利益を最優先に据えた判断を下した。この役割により、WazirXは被害者への資産分配とプラットフォーム再稼働への道筋を確保することができた。

前例のない展開と業界全体への影響

インドの仮想通貨取引所として、WazirXがこのような包括的な回復計画をシンガポール裁判所から承認されるのは初めてのことだ。

この計画に基づき、盗まれていない資金が顧客に返還される一方で、盗難資産の回収は依然として課題として残っている。一部の顧客は、この計画が公平に実行されるかについて懸念を示しているものの、透明性の高い計画の実行が業界全体に重要な前例を作るものとされている。

さらに、悪名高いラザルス(Lazars)グループがこのハッキングに関与している可能性が国連の報告書で示されており、北朝鮮が過去数年で仮想通貨を通じて30億ドル(約4,668億円)以上を盗み、核兵器計画の資金として使用しているとの指摘も注目されている。この国際的な脅威がWazirXだけでなく業界全体に与える影響は大きく、さらなるセキュリティ強化の必要性が求められている。

再起動への挑戦と信頼回復の道筋

WazirXは2025年2月の取引再開を目指しており、新機能やサービスを導入して収益を生み出す計画を発表している。

また、2024年11月のタウンホールミーティングでは、共同創設者のニシャル・シェティ(Nischal Shetty)氏が盗難されたステーブルコインの一部を凍結したことが信頼再構築の重要な一歩であると述べた。今回の賠償計画は、単なる再稼働に留まらず、顧客体験の向上や市場競争力の強化を目指している。さらに、顧客との信頼関係をどのように再構築していくかが、今後の成否を分ける重要な要素となる。

賠償計画の実行と新たな取り組みがどの程度成功するかが、業界全体の未来を左右する要素となる。特に、被害者への補償を具体的な形で示したことで、WazirXは他の取引所にも模範的な影響を与える可能性がある。

仮想通貨取引所WazirX、サイバー攻撃で2億3000万ドルの損失

2024.07.19

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム