トルコ、仮想通貨規制の新時代へ
トルコ政府は2024年末、新しい仮想通貨に関するAML（マネーロンダリング防止）規制を導入した。
この規制は、仮想通貨市場の透明性と信頼性を高めることを目的としており、国内外に大きな影響を与える可能性がある。トルコの新しいAML規制では、425ドル（約6.6万円）以上の取引が対象となり、仮想通貨取引所や関連事業者に当局への報告義務を課している。この基準は、市場の透明性を確保し、不正行為を未然に防ぐための重要な措置といえる。一方で、425ドル未満の取引については、情報収集が不要とされ、小額取引の負担軽減に配慮している。
さらに、未登録のウォレットアドレスを含む取引については、詳細な情報確認が義務付けられ、送金者情報が不十分な場合には取引停止や関係解消のリスクが伴う。なお、この規制は2025年2月25日に発効し、トルコ市場の健全化を図る重要な一歩となる。
規制の背景と成長する市場
トルコの仮想通貨市場は、2023年時点で取引量およそ1,700億ドル（約267.5億円）を誇り、世界第4位の規模にランクインしている。
この成長を受け、2024年には資本市場法の改正が実施され、仮想通貨企業向けのライセンス申請が急増した。CMB（トルコ資本市場委員会）は、8月までに47件の申請を受け付け、規制の枠組みを強化した。
新たな規制は、仮想通貨を利用したマネーロンダリングやテロ資金供与のリスクを抑制するだけでなく、国際的なAML基準や欧州MiCA（欧州仮想通貨市場）法案と整合性を図る動きでもある。MiCA法案は2024年12月30日に発効予定で、トルコの規制施策にも影響を与えている。
トルコ市場への期待と課題
新規制により、市場の透明性が大きく向上し、一般投資家や機関投資家の信頼を得ることが期待される一方で、報告義務や取引制限が一部の取引所や投資家にとって負担となる可能性もある。これらの新ルールに適応することで、市場参加者全体のコンプライアンス意識が高まり、長期的な市場の安定性が確保されると期待されている。
今回のトルコの規制強化は、国際的な仮想通貨規制のトレンドと一致しており、他国の規制にも影響を与える可能性が高い。透明性を重視したアプローチは、仮想通貨市場全体の健全性を高める一助となるだろう。特に、トルコ市場の施策は、同様の課題を抱える新興市場にとって参考となるかもしれない。
トルコ市場の未来を描く
トルコが導入した新たなAML規制は、市場の信頼性と安定性を向上させる大きな可能性を秘めている。短期的には取引の減少やコスト増加が見込まれるが、長期的には投資家にとって魅力的な市場として成長を続けることが期待される。
規制施行後、トルコ市場がどのように進化を遂げるのか、そしてその影響がどの程度グローバル市場に波及するのか、注目が集まる。これからの動向が、新たな仮想通貨市場の指針となる可能性がある。
