SEC検察官が職権乱用で辞任に追い込まれる
SEC(米国証券取引委員会)の2人の弁護士、マイケル・ウェルシュ(Michael Welsh)氏とジョセフ・ワトキンス(Joseph Watkins)氏は、2023年の仮想通貨事件での「重大な虚偽および誤解を招く表現」を理由にSECを辞任した事が分かった。
両氏は、DEBT Box(デットボックス)として知られるDigital Licensing Inc.に対する訴訟でそれぞれの役割を果たした後、SECを辞めるか、解雇されるよう指示されたとのことで、関係者の話によると、両氏らはこのまま留まれば解雇されると警告されたという。ブルームバーグは2024年4月22日(月曜日)付けで、両氏が今月初め付でSECから辞任したことを確認したと報じている。
今回の辞任は、連邦地方裁判所のロバート・シェルビー判事がDEBT Box事件における職権乱用でSECを叱責(しっせき)した後に行われており、この事件ではウェールシュ氏がSECの主任弁護士であり、ワトキンス氏が調査チームを率いていた。
SEC対DEBT Box
7月、DEBTボックスとその創設者らは投資家から4,900万ドル(約75.8億円)以上を盗んだ疑いで告発されている。
ウェールズ氏とワトキンス氏の両氏は、仮想通貨会社が資金を海外に移動させていると主張し、シェルビー判事と裁判所に資産凍結を申し立て、この申し立ては認められ、追加措置として債務ボックスが管理下に置かれる事となった。しかし、シェルビー判事は、2人が法廷で誤った陳述をしたと認定したSEC側の主張をさらに評価した後、判決を覆している。SEC執行部のガービル・グレワル(Gurbir Grewal)局長は後に明らかな違法行為について謝罪したが、裁判所はDEBTボックスに対し訴訟費用の金銭的補償を行うべきであるとの判決を下した。
ウォール街の監視機関に対する制裁を受けて、連邦検察は予断を持たずに事件を却下するよう申し立てた結果、DEBT Boxは規制当局に対して訴訟を起こし、150万ドル(約2.3億円)近い損害賠償を求めている。