コインベースが元英国首相オズボーン氏を顧問に起用
大手仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase)は、元英国首相ジョージ・オズボーン(George Osborne)氏を諮問(しもん)委員に任命することで戦略的な動きをとった事が分かった。
We are very pleased to have @George_Osborne join @coinbase's Global Advisory Council. George is one of the most experienced and thoughtful leaders in government and business, and we are grateful to have his advice and counsel as we expand Coinbase around the world.…
— Faryar Shirzad 🛡️ (@faryarshirzad) January 31, 2024
ジョージ・オズボーン氏がコインベースGlobal Advisory Council に参加できることを大変うれしく思います。同氏は政府とビジネスにおいて最も経験豊富で思慮深いリーダーの一人であり、コインベースを世界中に拡大する際に彼のアドバイスや助言を得られたことに感謝しています。
Coinbase は、SEC(米国証券取引委員会)からの重大な規制上の課題に直面しているため、この決定は重要な岐路に達していると言える。同氏の諮問委員会への起用は、規制当局への対応における立場を強化し、国際市場での影響力を拡大するための同取引所の戦術的な取り組みとみられる。
同氏は、2010年から2016年まで英国の大蔵大臣を務め、広範な政治と金融の専門知識をもたらし、第一国務長官および保守党の著名なメンバーとしての経験と、英国夕刊紙Evening Standard(イブニング・スタンダード)での編集者としての在職期間は、複雑な規制状況を通じてコインベースを導く上で貴重な人材として位置付けられている。
コインベースとSECの法廷闘争
コインベースとオズボーン氏との関わりは、SEC との現在進行中の法的対立によって顕著に影響を受けている。
2023年6月、SECは同取引所が未登録の取引所、ブローカーディーラー、決済機関として運営されていたとして、同取引所に対して訴訟。この訴訟は仮想通貨取引所と規制当局との間に大きな亀裂を生じさせ、デジタル資産取引所の将来と予想されるビットコインETF(上場投資信託)の承認に対する懸念を引き起こした。
キャサリン・ポーク・フェイラ(Katherine Polk Failla)判事がSECの弁護士に重要な質問を投げかけ、投資契約として分類されるトークンの具体的な特徴について明確にするよう求めた際、法的手続きは方向転換。この発展は、仮想通貨分野におけるより明確な定義と規制の枠組みの必要性を強調している。
より広範な市場の課題
法廷闘争とは別に同取引所は、混乱した財務期を乗り越えている。
当NEXTMONEYの2024年1月24日付特集記事「コインベース(Coinbase)の格下げで他の仮想通貨の価格に影響はあるのか」でも報じているように、JPモルガンによる格付けの「中立」から「アンダーウエート」への格下げを受けて、同取引所の将来見通しに対する懸念を反映し、市場では懐疑的な見方が高まっている。前年に比べて損失が減少したにもかかわらず、同取引所は2023年第3四半期に230万ドル(約3.3億円)の損失を報告し、財務健全性と戦略的方向性に対する監視が強化された。
コインベースが通期決算に向けて準備を整えるなか、仮想通貨コミュニティと投資家は、ジョージ・オズボーン氏を諮問委員会に起用することが、規制上の課題や市場の不確実性に対する同社のアプローチにどのような影響を与えるのか、高い関心が寄せられている。