クラーケンがBCM買収
世界最古の仮想通貨取引所の一つであるクラーケン(Kraken)は、ヨーロッパでの存在感を強化しており、オランダの仮想通貨ブローカーであるBCM(Coin Meester B.V.)を買収する計画を立てている事が分かった。
10月5日のプレスリリースで同取引所は、今買収により「オランダ市場でかなりの地位」が得られ、ブローカーの顧客に利益がもたらされるだろうと述べている。BCMは170以上のデジタル資産をサポートしており、同国内で最も古いブローカーの1つである。BCMを買収することで同取引所はヨーロッパ全土に拡大するという決意を表明。より幅広いユーザーベースに向け、製品ラインを拡大し、流動性を高め、セキュリティを向上させることを計画しており、同取引所のデビッド・リプリー(David Ripley)CEO(最高経営責任者)は次のように述べている。
オランダは世界で最も先進的な経済国の一つであり、確立されたイノベーション文化と高いレベルの仮想通貨の採用を持っています。このため、当社の欧州拡大計画において、この市場は重要な市場となっています。BCMの買収により、クラーケンはオランダ市場で大きな地位を獲得することになる。これにより、BCMのクライアントはさらに堅牢な製品提供の恩恵を受けられます。
MiCA規制枠組みの導入に勇気づけられているクラーケン
クラーケンは、欧州委員会によるMiCA(仮想通貨市場)規制枠組みの導入に勇気づけられていると述べている。
MiCAは、EU(欧州連合)に包括的な仮想通貨規制を導入することを目指している。これらのルールは、イーサリアム(Ethereum/ETH)やビットコイン(Bitcoin/BTC)などの代替資産やNFT(非代替性トークン)を含む、さまざまな仮想通貨の規制環境を標準化することを目的としている。
投資家保護のためのMiCAルールを取引所が調整
EUは、MiCAの主な目的は、金融の安定性と市場の健全性を促進しながら、ハッキングや違法行為などの仮想通貨に関連するリスクを軽減することで消費者と投資家を保護することであると主張している。
Gateio Exchange「MiCa (EU Crypto Laws) Overview(日本語訳:MiCa (EU 暗号法) の概要)」より動画引用
MiCA は、仮想通貨ビジネスと市場参加者向けの明確なルールと要件を確立することで、競争条件を平等にすることを目指し、さらにはイノベーションを促進する。MiCAは2023年6月1日に発効され、完全実施は2024年になる予定である。
こうした発展の結果、バイナンス・フランスなどの仮想通貨企業や取引所は、MiCAの実装を注意深く監視している。2023年8月下旬、バイナンス・フランスはAMF(Autorité des marchés financiers:フランス金融市場当局者)ライセンスが「規制上の課題に適応し、欧州市場内の機会を生かす機会」をもたらしたと述べている。
ヨーロッパでクラーケンはすでにアイルランド中央銀行から電子マネー機関のライセンスを取得し、スペイン銀行からVASP(仮想資産サービスプロバイダー)の登録を取得している。さらに、アイルランドのライセンスによってクラーケンはEU内でユーロと仮想通貨の取引サービスを提供できる。