2023年第1四半期にハッキングと攻撃が70%激減
ブロックチェーン分析および監視技術を開発を提供しているTRM Labsが発表した報告書により、第1四半期に仮想通貨ハッキングが70%減少しており、これを受けて専門家は一時的なものであると警告を発している事が分かった。
同社は、仮想通貨プロジェクトに対する約40件のハッキングや攻撃を詳しく調査。過去3カ月でハッキング数が70%減少。調査により、この減速は一時的なものであり、2023年第1四半期には盗まれた資金の半分以上がハッキング被害者によって取り戻されるとのこと。
同社は、2023年第1四半期に、仮想通貨プロジェクトに対する約40件の個別の仮想通貨侵入と攻撃により、4億ドル(約558.6億円)近くが盗まれたと概算している。同社の最新調査によると、この統計は2022年第1四半期と比較し、約70%急落。さらに、典型的なハッキング額が1,050万ドル(約14.7億円)に達し、2023年第1四半期は、2022年のどの四半期よりも低い数字を記録する結果となっている。
対照的に、2022年第1四半期の平均ハッキング額は3,000万ドル(約42億円)以上に達しており、同様の件数で40件近い事件が発生している。2023年と2022年の侵害の違いは回収額の多さである。TRM Labsは最近の分析の結果として、次のようにコメントしている。
現在までに、ハッキング被害者は2023年第1四半期に盗まれた全資金の半分以上を回収している。
一時的な緩和である可能性が高い
TRM Labsの調査員は、小康状態についての明確な説明は存在しないと明言しているものの、サイバー犯罪者は2つの特定の出来事によって落胆した可能性がある。
その1つ目であるのが、2022年のマンゴー・マーケット(Mango Markets)事件のハッカーであるアブラハム・アイゼンバーグ(Avraham Eisenberg)容疑者に対する米国政府の申し立てに関連するものだ。研究者らが言及した活動低下として考えられる2つ目の原因は、2022年のUSDT(米国財務省)の措置の結果としてイーサリアム(Ethereum/ETH)ミキサーのトルネードキャッシュに課された制裁である。
最新報告書は、ブロックチェーン監視ツールが進歩し、VASP(仮想資産サービスプロバイダー)がAML(マネーロンダリング[資金洗浄]対策)基準を高めていることを強調している。これらの要素が第1四半期の減速に寄与した可能性があるものの、専門家はその継続を予想していおらず、ブロックチェーンインテリジェンス企業の2023年第1四半期の調査は次のように結論づけている。
残念ながら、この減速は長期的な傾向ではなく、一時的な緩和である可能性が高い。