ジンバブエはIMFを無視して数百万の金裏付けトークンを販売

ジンバブエがIMFを無視して金裏付けのトークンを販売

RBZ(Reserve Bank of Zimbabwe:ジンバブエ準備銀行)による初の金担保仮想通貨販売は大成功を収め、同国の中央銀行は、140億ジンバブエドル(約5.2兆円)相当の金担保トークンを販売することに成功したことが明らかになった。

RBZは、IMF(国際通貨基金)からの厳しい警告にもかかわらず、金地金トークンの販売に踏み切っており、同銀行は2023年5月12日、金で裏付けられた仮想通貨を購入するため、合計約14.07ジンバブエドルで135件の申請を受けたと発表した。同銀行は、自国通貨の安定化を図るため、金に裏打ちされたデジタル通貨を法定通貨として導入する計画を発表しており、このデジタルトークンは、中央銀行が保有する同国の金準備に裏打ちされた一種の電子マネーとして機能することになるとのこと。

金を裏付けとした通貨を採用することで経済の安定を図るジンバブエ

ジンバブエは、この10年間、激しいインフレと極端な通貨変動に見舞われており、金を裏付けとした通貨を採用することで経済の安定を図っているとみられる。

この仮想通貨トークンは4月に初めて導入され、139.57キログラムの金で裏打ちされており、問題の販売は、5月8日から5月12日まで行われ、トークンの最低販売価格は、個人の場合は10ドル(約1,360円)、法人や企業などの団体の場合は5,000ドル(約68.2万円)に設定されている。トークンの最低権利確定期間は180日で、その間はe-goldウォレットやe-goldカードで保有でき、トークンの売買が制限される。また、ジンバブエドルは1ドル=362ジンバブエドルという公式レートで取引されているが、非公式な市場ではその価値ははるかに高いものである。

IMFからの警告を無視するジンバブエ

金に裏打ちされた仮想通貨トークンを発行する動きは、同国の低迷する経済と米ドルに対する自国通貨の下落を安定させるための努力と見なされている。

RBZは、デジタルトークンセールの第2ラウンドが行われる予定であり、すでに今週末までに申請書を提出するよう要請しており、同銀行の(John Mangudya)総裁は次のように語っている。

金を裏付けとするデジタルトークンの発行は、経済で利用可能な価値保存手段を拡大し、投資手段の可分性を高め、一般市民によるアクセスと利用を広げることを意図しています。

実際ジンバブエは、IMFからの厳しい警告にもかかわらず、金を裏付けとする仮想通貨トークンの販売計画を進めており、IMFは、ジンバブエが金を裏付けとした通貨を採用するのではなく、外国為替市場の自由化に向けた努力を振り向けるべきだと指摘しているとのこと。これに対してIMFの広報担当者は、「この措置から得られる利益が、コストや潜在的なリスク(例えば、マクロ経済や金融の安定リスク、法的・運用的リスク、ガバナンスリスク、外貨準備の放棄によるコストなど)を上回ることを確認するため、慎重な評価を行う必要があるとコメントしている。

IMFはアフリカ南部の国に対し、金を担保にした仮想通貨を採用しないよう警告し、差し迫ったマクロ経済の課題に対処する従来の手段を代わりに検討すべきであると述べている。さらにIMFは、ビットコインを法定通貨として採用したエルサルバドルや中央アフリカ共和国に対しても同様の懸念を表明しているとのことだ。