IMFがジンバブエを批判
IMF(国際通貨基金)はジンバブエ当局に対し、金を裏付けとしたデジタル通貨発行の潜在的な脅威と批判したうえで、メリットとリスクを比較検討するよう求めた事が分かった。
IMFはジンバブエの金融当局に対し、金を裏付けとしたデジタル通貨発行の利点と経済への潜在的なリスクを慎重に検討するよう呼び掛けた。金トークンの発行を急ぐ代わりに、当局は国の外国為替市場の自由化を検討すべきだと指摘している。
IMFのこの発言は、RBZ(ジンバブエ準備銀行)が金を裏付けとしたデジタル通貨の発行を開始したわずか数日後である。
金を裏付デジタルコインは米ドル需要抑制を目指すジンバブエ準備銀行の試み
金を裏付けとしたデジタルコインは、現地の米ドル需要を抑制するためのRBZによる試みとみられている。
ドルに対する高い需要と公式市場での供給が限られていることから、並行市場での現地通貨の下落が加速。2023年初めの1ドル: 1000ZWL(ジンバブエ・ドル)強から4月末までに1ドル: 2000 ZWL程度まで下落した。2022年、RBZは基準金利を引き上げることで現地通貨安に対応。同年、中央銀行は、代替の価値保存手段として機能する物理的な金貨を発表した。しかし、RBZが金を裏付けとしたデジタル通貨の流通を開始した後、IMFの報道官は、そのようなデジタル通貨がもたらすいくつかのリスクについて次のように警告した。
この措置による利益が、マクロ経済や金融の安定リスク、法的リスクや運営上のリスク、ガバナンスリスク、外貨準備金のコストなどのコストや潜在的なリスクを確実に上回るよう、慎重な評価が行われるべきだ。
外国為替市場の自由化に加えて、IMF報道官はジンバブエ金融当局に対し、金融引き締め政策維持を含む他の従来解決策に固執するよう指示したと伝えられている。
IMFによる警告は、ブレトンウッズ機関(※1)が非伝統的な通貨管理アプローチを採用しているアフリカ諸国を非難するのは2回目となる。2022年、IMFは中央アフリカ共和国がビットコインを導入した後の金融安定に対するリスクを警告。また、エルサルバドルがビットコイン法定通貨を宣言した最初の国となった後、同様の警告が発している。
IMF(国際通貨基金)とIBRD(国際復興開発銀行)を指しており、1944年に締結されたブレトンウッズ協定により両機関が設立された背景から、このように呼ばれている。