Metaのジョン・カーマックが退職しプロジェクトを批判=メタは2023年も投資を続ける

MetaのVR責任者ジョン・カーマック氏が退職

米国のコンピューターゲーム開発会社ID Softwareの創業者であり、MetaのVR(仮想現実)に関するエグゼクティブコンサルタントであるジョン・カーマック(John Carmack)氏が、Metaを退社することを発表したことが明らかになった。

ソーシャルネットワークとメタバースを手がけるMetaは、有力なVRコンサルタントのカーマック氏がMetaから離脱したことを発表しており、Facebookの投稿で、同社のVRコンサルタントとしての辞任は、VRに特化した10年の終わりを意味すると説明。同社がVRとメタバース開発に向けた作業に関して非効率性に悩まされていることを明かしている。実際、退社の理由の中で同氏は、Metaに非効率性と自虐性があり、それが同社のVRとメタバースに関する取り組みに影響を及ぼしているとの見解を示している。今回の件について同氏はコメントで次のように語っている。

私たちはとんでもない量の人とリソースを持っていますが、常に自己妨害し、努力を浪費しています。私たちの組織は、私が満足できるような効果の半分ほどしか発揮できていないと感じています。私は、この会社の最高幹部として発言力があり、物事を動かすことができるはずなのに、明らかに説得力に欠けている。私が文句を言っても、1年、2年と経って証拠が積み重なれば、かなりの割合で私の思い通りになる。


これまでのカーマック氏の功績

カーマック氏は、2014年にFacebookがOculusを買収した際にCTO(最高技術責任者)として同社の一員となり、2019年にFacebookでコンサルティングの役割を担い、AI(人工知能)プロジェクトに仕事を捧げている。

しかし、Metaでの活動は同氏にとって悪いことばかりではなく、同社が製造したヘッドセット「Meta Quest 2」は、何百万人もの人々に使われ、高く評価されている。このヘッドセットは、Meta社が提供する現在のエントリーレベルのメタバースおよびVRヘッドセットとみなすことができ、コストは400ドル(約53,000円)で、より優れた技術的スペックを持つMeta Quest Proが1,500ドル(約198,000円)で販売されている。

一方で、Metaが11月9日に発表した11,000人の従業員を解雇するという、レイオフの影響を受け、メタバース事業をやめるようMetaに求める投資家もいる。それでもMetaは、ヘッドセット「Meta Quest 2」の後継機の出荷を目指し、同社の主力メタバース体験である「Horizon Worlds」のコミュニティ部分の成長と改善に注力するため、2023年は同社にとって大きなメタバース開発の年となると結論付けているとのことだ。

Metaは2023年も投資を続ける

レイオフの影響を受けているにもかかわらずMetaは、予算のうち20%をメタバースのコア部門であるReality Labsにその費用を費やしている。

このレベルの投資は、Meta が 2023 年に業界にもたらすことを望んでいる進歩に力を与え続け、これは、AR の研究開発プロセスを中心とするものである。メタバース部門の責任者であるアンドリュー・ボスワース(Andrew Bosworth)氏によると、現在、Reality Labs のリソースの約半分がこの種のイニシアチブに注がれているとのことだ。