BISがCBDCパイロットプロジェクト成功を報告
BIS(Bank for International Settlements=国際決済銀行)は、国際決済用のマルチCBDCプラットフォームであるmBridgeプロジェクトに参加し、BIS Innovation Hubが先導する複数管轄区域(multi-jurisdiction)CBDCパイロットが成功したと発表した事が明らかになった。
同プロジェクトでは、専用マルチCBDCプラットフォームであるmBridgeを通じて、2,200万ドル(約32億円)相当の実質的な国境を越えた支払いに相当する164件の取引が実行された。香港、中国、タイ、UAEアラブ首長国連邦の中央銀行のほか、20の商業銀行もこのプロジェクトに参加し、プロジェクトは1カ月強続いた。
マルチCBDC越境決済
BISはLinkedinの投稿で、参加している4つの中央銀行から1,200 万ドル(約17.5億円)以上の公式CBDCがテストプラットフォームに発行されたと述べたうえで、つぎのように語っている。
カスタム開発されたDLT(Distributed Ledger Technology=分散型台帳技術)プラットフォームであるmBridge Ledgerで、8月15日から9月23 日まで行われました。参加している20の商業銀行がこのプラットフォームを使用して、国境を越えた取引に焦点を当てた法人顧客向けのさまざまな種類の支払いを決済しました。1,200万ドル以上の価値がプラットフォームに発行され、160以上の国境を越えた支払いと、総額2,200万ドル以上のFX取引が促進されました。
BISは規制をカバーする詳細なレポートをリリースへ
BIS は、香港フィンテック(2022年10月31日~11月4日開催)中、mBridgeプロジェクトの技術設計、法律、ポリシー、およびその他の規制面をカバーする詳細なレポートをリリースすることを約束している。
スイスに本拠を置くBISは、新しい開発ロードマップも明らかにしている。同プロジェクトに参加したタイ銀行のタヨ・トゥニャソン・K(Tayo Tunyathon K)氏は、国境を越えた貿易決済に実際の価値のCBDCを使用した世界初のパイロットと称しており、Linkedinへの投稿の中で、同氏は次のように語っている。
私たちは、国境を越えて貿易/経済成長を促進するCBDCの可能性を見始めたばかりです。
90%の中央銀行がCBDCオプションを検討
2022年5月のBIS調査では、81の中央銀行のうち73銀行がCBDCの開始方法を模索しており、そのうちの50%が既に開発または実験を行っていることが明らかにしている。
さらにBISは、CBDCが限られた営業時間や長い支払い手続きなどの主な問題点を緩和できると信じていることを指摘。2022年6月と9月にBIS イノベーションハブの責任者に就任する予定であったセシリア・スキンズリー(Cecilia Skingsley)スウェーデン中央銀行総裁は、ECB(欧州中央銀行)の中央銀行に関するフォーラムで、CBDC は法定通貨システムの自然な進化である。ポルトガルのシントラで開催されたECBのイベントで同総裁は次のように語っている。
革命ではなく、中央銀行の役割の進化と見ています。支払い方法としての現金はなくなると思います。それは確かです。