ステーブルコインとデジタル人民元の緊急規制要求
ニューサウスウェールズ州のオーストラリア自由党のアンドリュー・ブラッグ(Andrew Bragg)上院議員は、承認されれば、デジタル人民元を扱うステーブルコインの発行会社と銀行は厳しい監視下に置かれることになるとして、仮想通貨セクターを厳格な監督下に置く法案を起草した事が分かった。
この法律が承認されれば、デジタル資産取引所とステーブルコイン発行者はオーストラリア当局に業務を開示することが義務付けられ、同国内でデジタル人民元を扱う中国の銀行も厳しい監視に直面することになるとのこと。
オーストラリアは早く動くべき
ブロックチェーンアソシエーションフォーラムでのスピーチで同上院議員は、仮想通貨業界が「影から光の中へと出てくる」時が来たと述べている。
テラ(Terra)崩壊の概要を説明し、主にステーブルコイン発行者に焦点を当てた法案を提示。製品を消費者に紹介する前に、オーストラリアの監視機関から特別なライセンスを取得する必要があり、さらにそのような企業は、クラッシュした場合にクライアントに払い戻せるよう、現地通貨および外貨で準備金を保有する必要があるとしている。また、同上院議員の法案は、オーストラリアで活動する中国の金融機関のグループに、デジタル人民元取引を中央銀行に報告することを要求しており、仮想通貨取引所の基準も解除されるとのこと。プラットフォームは、活動の透明性を最大限に確保したうえで顧客資金を分離し、必要なすべてのサイバーセキュリティ対策を講じるよう求めている。
2022年5月、オーストラリア労働党が政府選挙に勝利し、アンソニー・アルバニーズ(Anthony Albanese)党首が首相に就任し、大規模な火災や洪水といった気候変動との戦い、バイ付き物価が上昇しているインフレの広がりを軽減、仮想通貨業界に包括的な規則を課すことを公約に掲げている。しかし、同上院議員によると、与党はまだ国内のデジタル資産部門を規制するための措置を講じていないと指摘しており、オーストラリアが他国に後れをとらないよう、迅速に行動する必要があるとして、次のように語っている。
オーストラリアは、消費者保護、資本誘致、イノベーションをめぐって競争しています。アルバニア政府は、そうでないのに何かをしているという印象を与えようとしています。
仮想通貨関連広告にも制限を
過去数カ月間、仮想通貨会社はスポーツイベントや公共の場で自社とその製品を宣伝しており、CryptoCom、Coinbaseおよび他の多くのロゴがスタジアムの周りに見られていた。
同上院議員は、オーストラリアでも同様のマーケティングキャンペーンが行われており、一部広告については「規制されていない製品を提供しているような印象を与える」と指摘。そのため、国内の監視機関はその問題に注意を払い、最大限の消費者保護を保証する規制対象企業広告のみを許可するべきだと述べている。