オランダの中央銀行がBinanceに325万ユーロの罰金を科す

オランダ中央銀行がBinanceに最大規模の罰金を科す

オランダの中央銀行にあたるDNB(De Nederlandsche Bank=オランダ銀行)は、Binanceが法的な登録なしに仮想通貨サービスを提供したことを受け、同取引所に対して325万ユーロ(約4.5億円)の罰金を科したことを公式サイト上にて発表した事が分かった。

オランダで仮想通貨サービスを提供する企業は、マネーロンダリング(資金洗浄)およびテロ資金調達防止法に基づき、同国の中央銀行であるDNBに登録することが法的に義務付けられているとのこと。これは、仮想通貨トランザクションの匿名性が、犯罪者によるトランザクションを監視することを容易でなくする理由から、2020年5月に導入されている。しかしDNBは、Binanceが仮想通貨と受託通貨間の取引サービスや、カストディアンウォレットを違法に提供していると指摘。これにより、顧客がマネーロンダリングやテロ資金調達に関与するリスクが高まる可能性があると警告し、Binanceの行為が深刻であることから、罰金の基本額を増額したという。

法的な営業が認められていなかったBinance

罰金の金額を決定する際DNBは、Binanceが世界最大の仮想通貨取引きサービス提供者であり、オランダでの法的な営業が認められていないにもかかわらず、同国に多くの顧客を抱えていることを考慮したとのこと。

また、BinanceはDNBに課徴金を支払っておらず、DNBによる継続的な監督に関連して他のコストを負担する必要がないため、競争上の優位性を享受してきたとことを罰金額に考慮したとのこと。さらに、2020年5月21日(登録義務導入日)から少なくとも2021年12月1日(DNBによる調査終了日)まで、同取引所は違反行為を行ったとされており、これらの違反行為の実施期間の長さから、同社の行為は非常に深刻であると結論づけた。

一方でDNBは、現在Binanceから登録申請が提出されていること、Binanceがそのプロセスを通じて事業運営について比較的透明であったこともあり、罰金を5%減額。これに対しBinance広報担当者は、次のように述べている。

本日の決定は、オランダ中央銀行との継続的な協力関係において待望の軸となるものです。この決定のすべての側面で同じ見解を共有しているわけではありませんが、オランダの規制当局が適切と考える規制を実施する権限と専門性を深く尊重しています。今回のことがきっかけで、私たちはオランダでより伝統的な運営モデルを追求し続けられるでしょう。

現在Binanceは、現地で設立されたBinance Nederland BVを通じて仮想通貨サービスプロバイダーとしての登録を申請し、オランダの規制要件を満たす上で重要なマイルストーンに既に到達しており、Binanceがより伝統的に規制されたフィンテック企業として、ヨーロッパで事業を行っていくきっかけとなった。