ジャネット・イエレン米国財務長官、潜在的リスクに対処する規制の枠組みを示唆

イエレン米国財務長官が枠組みの必要性を強調

米国財務長官ジャネット・イエレン(Janet Yellen)氏は、仮想通貨分野における規制をサポートするため、仮想通貨規制の枠組みの必要性を強調したことが明らかになった。

U.S. Department of the Treasury「Treasury Secretary Janet Yellen Remarks on Digital Assets | American University | April 7, 2022」より動画引用

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ワシントンのアメリカン大学で行われた講義でイエレン氏は、財務省は消費者と米国の金融システムにとって、ステーブルコインがリスクに強いことを保証するための法律を進めるため、議会と協力していると述べた。同氏によると、ステーブルコインは政策的懸念とコインの準備資産をめぐる問題を提起したが、デジタル資産市場の多くの部分は不平等を悪化させる可能性のある潜在的なリスクを抱えていると指摘している。

先日署名された大統領令は、革新的なプロジェクト、特に金融業界に革命をもたらす可能性のあるプロジェクトを支援しようとするものであり、仮想通貨コミュニティはこの大統領令を好意的に受け止めているとのこと。また、財務省は今後6カ月間で、ホワイトハウスや他の政府機関と協力し、デジタル資産に関するシステミックリスク(※1)と消費者リスクの両方を軽減するため、政策提言に関連する報告書を作成するとのことで、同氏は次のように語っている。

規制の枠組みは、リスク、特に金融システムと経済を混乱させる可能性のあるリスクを管理しながら、責任あるイノベーションを支援するように設計していく予定です。銀行や他の伝統的な金融会社がデジタル資産市場への関与を深めるにつれ、規制の枠組みは、これらの新しい活動のリスクを適切に反映する必要があるでしょう。

日本語訳:
(※1)システミックリスクとは…
特定の金融機関や市場が機能不全となった場合、その影響が他の金融機関や市場、さらには金融システム全体にまで波及する金融危機を起こすというリスクの事。

米国が規制の枠組みを実施する背景

これまで米国では仮想通貨に関する明確な規制の枠組みが存在しておらず、規制当局は現在、仮想通貨取引所や仮想通貨の保管といったサービスを提供する銀行に対して監視を行う方法を模索しているとのこと。しかし同氏は、あくまで革新的な仮想通貨プロジェクトを取り締まるのではなく、支援することを強調。さらに同氏は、重要なのはその基盤となる技術ではなく、提供するサービスであり、消費者、投資家、企業の保護を強調する一方、カストディ・プラットフォームは顧客の資金が失われないようにする必要があると付け加えた。同氏のスピーチは、下院金融サービス委員会に続いて行われたもので、最近の制裁で名指しされたロシアの個人や団体が、金融規制を回避するために仮想通貨を使用したケースはないと証言している。

仮想通貨の潜在的なリスクに関しては、以前から懸念されていたこともあり、米国が明確な仮想通貨の規制枠組みを作成することに至っており、世界のリーダーである米国が実際に規制を実施した場合、各国の規制当局も米国の規制を参考にするとみられることから、今後の動向に注目g集まっている。