ロシアのウクライナ侵攻が世界経済回復に影響を与えると警告
IMF(International Monetary Fund =国際通貨基金)と世界銀行(World Bank)の代表は、ロシアのウクライナ侵攻が世界経済の回復に影響を与えると警告し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政府は国際的な制裁に抵抗する準備をしていたと指摘した事が新たに分かった。
IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ(Kristalina Georgieva)事務局長は、ウクライナの爆撃がもたらす影響のために「深く心配している」と述べ、この紛争は「地域と世界に重大な経済的リスクをもたらす」と指摘した。戦争の経済的影響を評価している間にIMFは必要なときに私たちのメンバーを支援する準備ができていると語っている。IMFは、ウクライナに22億ドル(約2,541億円)の資金援助を行う準備をしており、6月に終了するこの融資プログラムは、ロシア軍の侵入によって引き起こされた被害を支援することを目指しているという。ゲオルギエバ氏は、必要に応じて紛争の影響を受けている他の国々にも支援を提供する用意があると述べている。
世界銀行がウクライナを支援
世界銀行のデイビッド・マルパス(David Malpass)総裁は、Twitterを通じ、ウクライナでの壊滅的な出来事に深く悲しみ、恐怖を感じ、経済的および社会的に広範囲にわたる影響を与えるだろうと述べている。
I am deeply saddened and horrified by the devastating developments in Ukraine, which will have far-reaching economic and social impacts.
When I met with President @ZelenskyyUa Saturday in Munich, I reaffirmed the @WorldBank Group’s strong support and commitment.
[1/2]— David Malpass (@DavidMalpassWBG) February 24, 2022
同銀行は、即時の予算支援を含む、ウクライナと地域の人々への大きな支援のためのオプションを準備していると同総裁は語っている。ウクライナでの紛争勃発により、ガスと石油の価格が急激に上昇し、1バレル(約117リットル)あたり100ドル(約11,500円)を超えたほか、ヨーロッパ、アジア、そしてよりウォール街の株式市場の下落を引き起こしている。
今後のアップデートでは、IMFは世界経済の成長予測を引き下げると予想されている。2022年1月、当局は、基本的にはコロナパンデミックの影響結果として、今年の世界のGDPが4.4%に減少すると推定しており、前回の2021年10月の予測を0.5ポイント下回っている。
ロシアは制裁措置の準備ができていた
ロシアに対する欧米対応の一環として、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領と英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は、直ちに有効な経済制裁を発表している。
制裁には、ロシアの主要銀行であるロシアのメガバンクJSC VTB Bank、Otkritie(Bank FC Otkritie=オトクリティエ農業銀行)、Novikombank、Sovcombank(ソブコム銀行)の資産凍結が含まれるほか、ロシアへのハイテク関連の輸出停止も含まれている。ただし、ロシア政府はすでに数年間制裁に直面する準備をしており、プーチン大統領は、戦争のための準備金に現金、金、仮想通貨を蓄積しているものの、ロシア政府は欧米による制裁緩和を望んでいる。その間、米連邦準備制度理事会は、3月に予定されている予想利上げを遅らせるか軽視する可能性がある。
ロシアの友好国中国の対応
25日よりキエフでの攻撃が続いたため、中国の最高指導者である習近平氏は、ロシアのプーチン大統領に対し、ウクライナとの敵対行為の停止について交渉するよう促した。
中国はロシアを支持しているものの、地域全体に拡大し、欧米を巻き込んだ大規模戦争が世界経済と自国の利益を損なうことになることも認識している。中国中央電視台の報道によると、「中国はロシアとウクライナが交渉を通じて問題を解決することを支持している」とプーチン大統領に語った。