FRB議長は仮想通貨が米国金融の安定を混乱させることについて心配していない

FRB議長は仮想通貨と米国の金融安定について語る

FRB(Federal Reserve Board=米国連邦準備制度度理事会)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は、仮想通貨が米国の金融の安定を混乱させることについて心配していないと述べたことが明らかになった。

CNBC Television「Fed Chair Jerome Powell holds news conference after rate decision — 12/15/21」より画像引用

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ウォールストリートジャーナルのマイケル・ダービー(Michael Derby)氏からの質問に対してパウエル議長は、政府機関は仮想通貨空間の発展を監視することを検討する必要があるが、仮想通貨を米国市場の財政的安定性の懸念とは見なしていないとほのめかした。その一方で同議長は、ステーブルコインの規制の必要性を指摘しながら、投機的資産として使用されるデジタル通貨は危険であり、何にも裏付けられていないと述べたことも明らかになっている。というのも同議長は2021年9月に次のように語っている。

ステーブルコインはマネーマーケットファンドのようなものであり、銀行預金のようなものですが、ある程度は規制の範囲外であり、規制されるのが適切です。


バイデン政権による最新の立場を支持

パウエル議長は、次のFRB理事会の議長となる上院聴聞会に先立ち、デジタル資産に関するバイデン政権の最新の立場を支持しており、ステーブルコインについて次のように語っている。

ステーブルコインは、適切に規制されていれば、確かに金融システムの有用で効率的な消費者サービスの一部になる可能性があります。今のところ、そうではありません。特に、存在する非常に大規模な技術ネットワークの1つに関連付けられている場合は、拡張できる可能性があります。

実際、同議長は、9月30日に下院公聴会で仮想通貨を禁止する気はないと発言した反面、ステーブルコインの規制の必要性を声高に訴えている。その理由として、ステーブルコインは、銀行機能と類似する側面を有しているにもかかわらず、現在は規制が整備されていないため、この点について、パウエル議長は早急な規制の整備が必要と考えているとのこと。

米国連邦準備制度理事会は仮想通貨を禁止または制限する権限を持たないと補足した上で、禁止または制限を議会に提案することはできるとも述べている。特に米国では、仮想通貨に関しては、FRBやSECの方針が明確化されていない状況から、国全体の規制を整備するFRBなどの機関だけでなく、各州が独立して規制を整備している状態となっている。2012年からFRB理事を務め、2018年から議長を務めているパウエル議長は、米大統領が選んだ2026年まで同職を務める予定であり、その発言には注目が集まっている。