Taproot のアップデートがついに稼働
ビットコイン(Bitcoin/BTC)をよりプライベートで、安全かつスケーラブルを目的とした待望の「Taproot」ソフトフォークがついにブロック709,632でアクティブ化された。
ビットコインネットワークは、最も野心的なアップグレードと称される「Taproot」を、2021年11月14日(日曜日)5:15(※日本時間14:15)に、ブロック709,632で稼働した。Taprootは、ビットコインの歴史を通じていくつかの技術革新で構成されており、すべてが1つのアップグレードにまとめられている。Taprootは2018年、暗号化システム、ストリーム、コーディングの開発者グレゴリー・マクスウェルGreg Maxwellによって最初に提案された。提案以来、3つのビットコイン改善提案またはBIP(Bitcoin Improvement Proposals=ビットコイン技術の発展のためのに作成、公開される草案群)が、ピーター・ウイル(Pieter Wuille)氏、ティム・ラフィング(Tim Ruffing)氏、A.J.氏によって作成。これらの提案は、2020年10月にビットコインコアに統合済みである。
ライトニングネットワークと分離された証人SegWit(Segregated Witness=セグウィット)のアップグレード後、2017年8月以来、Taprootがネットワークの最初の重要なアップグレードであることを考えると、実装はビットコインの重要な転換点だ。SegWitとLightningNetworkはトランザクションをより速く、より安くすることに重点を置いているが、Taprootは、スケーラビリティの向上と料金の削減以上のものをもたらし、最新アップグレードは、プロトコルのプライバシーとセキュリティを向上させることを目的としている。
Schnorr(Schnorr)署名は今回のアップグレードの中心
Taprootは、Schnorr署名を提供し、ネットワークの負担を軽減すると同時に、シンプルさ、効率、セキュリティを強化する。署名セットを1つに要約するための一種のマスターキーを作成することにより、UTXI(マルチシグニチャーマルチ入力トランザクション)をはるかに簡単、高速、安価に実行できる。
現在、ビットコインはすべてのデジタル署名に暗号化スキームECDSA (※1)を使用しており、ユーザーは秘密鍵を使用してトランザクションに署名して承認する。TaprootはSchnorrスキームを使用し、Taprootを使用するトランザクションはこのスキームを利用。Schnorrは、新しい機能を追加することで、ビットコイントランザクションのプライバシー、セキュリティ、および規模を強化する。
情報の安全性を保つデジタル署名の仕組みの一つで楕円曲線デジタル署名アルゴリズムを指す。
スマートコントラクトをより効率的に
Taprootは、ビットコインを新しいレベルに引き上げ、さらに高度なスマートコントラクトを作成する可能性を高めるいくつかのツールが作成されている重要な開発MAST (Merkelized Abstract Syntax Tree)の概念を通じて、ビットコインのスクリプト言語を改善することを目指している。
これにより、ネットワーク上のスマートコントラクト機能への扉が開かれ、さらに多くの採用につながる。ビットコイン開発者ハンプス・フォアーバーリー(Hampus Sjöberg)氏は、「Taprootは100年のソフトフォークである」と信じており、長期的には、より代替可能で堅牢なブロックチェーンを生み出すと考えている。そのフォアーバーリー氏が管理するアップグレード専用ウェブサイトTaproot.watchで次のように述べられている。
MASTは、支出時に契約の関連部分を明らかにするだけで、スマートコントラクトをより効率的かつプライベートにするのに役立ちます。
今後の方針
現在、ビットコインノードの半分強がサポートを通知しているが、残りはまだ古いソフトウェアを使用している。
Taprootを適用する前に、まずBitcoin Core21.1にアップグレードしなければならない。万が一、新しいソフトウェアにアップグレードしないマイナーは、ネットワーク上でマイニングできなくなる。これまでのところ、マイナーの90%以上が、新しいソフトウェアにアップグレードする意思を示している。
アップグレードを完全に有効にするには、かなりの量の作業を行わなければならない。また、ユーザーは、使用しているビットコインウォレットがサポートするまで、新しいトランザクションを送受信できない。現時点ではほとんどのウォレットがサポートしていないため、これにはしばらく時間がかかるとみられる。ちなみに…、ビットコインの最後のメジャーアップグレードであるSegWitは、採用レベル50%に達するまでにほぼ2年かかっている。