インドネシア東ジャワのイスラム地方支部が仮想通貨をハラーム認定

インドネシア東ジャワのイスラム地方支部が仮想通貨をハラーム認定

国連人口基金駐日事務所による「世界人口白書2021」によると、人口2億7640万人を抱え、世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシア。同国最大のイスラム組織の1つの地方支部で、仮想通貨をハラームまたは宗教法で禁止されていると宣言したことが明らかになった。

インドネシアのニュースポータルTempoによると、東ジャワにあるインドネシアの宗教団体であるNahdlatulUlamaの地方支部は、イスラム法に基づく仮想通貨の状況に関するファトワ(宗教令)を発行。ファトワとは、資格のある法律家によって与えられたイスラム法の点に関する拘束力のない法的意見であり、実際に仮想通貨取引に影響を与える効力は低い。また、ハラームとは、イスラーム教の法学における5段階の義務規定(「義務」「推奨」「許可」「忌避」「禁忌」)のうち、「禁忌」の意味を有している。

仮想通貨の使用は金融取引の合法性を損なう可能性があるとの見解を示しており、取引手段として使用されるデジタル通貨はハラーム(禁忌)と見なされる。イスラム教での代表的なハラームとされる行為には、豚肉を食べることやアルコールを飲むことなどがあり、これらの行為と同等に扱われるという。

宗教関連での仮想通貨禁止

決定は、10月24日(日曜日)に組織が行った議論であるbahtsulmasailによって決定されたもので、仮想通貨が詐欺を犯すためのツールとして役立つ可能性があることにも触れている。

bahtsulmasailの参加者は、仮想通貨がすでに政府によって認められているものであるにもかかわらず、イスラムのシャリーアの下では合法化できないという見解を示した。さらに2021年5月に、ロシアのイングーシ共和国の著名な宗教団体が仮想通貨の取引を禁止する決定を下したことで、ソーシャルメディアに否定的な反応が引き起こされるなど、宗教関連での仮想通貨の禁止が話題となっている。

一方で、世界で最もイスラム教徒の人口が多い国であるインドネシアでは、仮想通貨の人気が高まっているのが現状であり、先物取引所監査役会による国内取引所のデータでは、2021年の最初の5カ月間に取引量が40%増加したことも明らかになっている。

ジャカルタの貿易大臣ムハマド・ルスフィ(Muhammad Luthfi)氏は、インドネシアが仮想通貨に広範な禁止を課すことを計画していない事を明らかにしており、ビットコインのマイニングと取引の取り締まりを開始した中国をたどるつもりはないという。分散型デジタル通貨に関する意見は、イスラム学者、専門家、そしてイスラム教徒の間で何年にもわたって変化しており、今回のNahdlatulUlamaの決定は、同様のイスラム教徒からの賛同を得るとは限らない。