仮想通貨犯罪者による匿名ウォレット使用率が増加

仮想通貨犯罪者による匿名ウォレット使用率が増加

ロンドンを拠点とする仮想通貨リスク管理プロバイダーEllipticは、ビットコインなどの仮想通貨で犯罪収益を資金洗浄(マネーロンダリング)するために、犯罪者が使用する方法に関する新しい研究レポートを発表した。レポートによると、仮想通貨犯罪での匿名ウォレットの利用が増加し、不正な資金を洗浄するためビットコインの犯罪収益全体の13%近くが、Wasabi Walletなどの匿名ウォレットに送金されているという。

Ellipticの調査によると、匿名ウォレットを使用することで、ユーザーはブロックチェーン上のマネートレイルを非表示にできるため、マネーロンダリングやハッキングなどの犯罪での利用が急増している。また、今年7月のツイッターのハッキングで、犯罪者がビットコインで120,000ドル以上を調達し、WasabiWalletを介して送金した事件や、詐欺師が2億8000万ドルの仮想通貨を盗んだKuCoinのハッキングなどでも匿名ウォレットが利用されているようだ。

実際に、2020年世界のさまざまな地域で、仮想通貨に関連する犯罪活動は急増しており、WasabiWalletなどのプライバシーウォレットの利用は2019年に2%だったものの、2020年には13%まで増加している。しかしその一方で、EllipticのチーフサイエンティストであるTomRobinson氏は、以下のように匿名ウォレットがマネーロンダリングの有効手段になるとは限らないと説明している。

プライバシー(匿名)ウォレットを使用すると、ブロックチェーンを介した不正な資金の流れを追跡することが困難になりますが、必ずしも効果的なマネーロンダリングツールになるとは限りません。

欧州サイバー犯罪センターなどは、ビットコインの取引秘匿機能を搭載するWasabiWalletが、犯罪捜査に支障を与える可能性を示唆する報告書をまとめている。それによると、ブロックチェーン上のWasabiWallet取引を検出する方法や、捜査当局が口座や取引内容を調査するための方法が模索されており、対策を進めているようだ。