カナダ歳入庁(CRA)、仮想通貨取引所の顧客データを要求
カナダ歳入庁(CRA)は、トロント拠点の仮想通貨取引所Coinsquareに対して、全てのクライアントに関する顧客データを提出するよう連邦裁判所に要請していることが分かった。CRAは9月の連邦裁判所へ提出した文書で、仮想通貨を利用した脱税やマネーロンダリングなどの犯罪に対応するために、主要な仮想通貨取引所Coinsquare上の全クライアントのIDを要求している。
この要請はカナダで初めて行われたもので、文書の中で当局は、脱税を主要な懸念事項として引用し、CRAに提出された過去の納税申告書をCoinsquare文書の情報と比較することになるという。カナダの税務弁護士DavidPiccolo氏によると、これらの要請する情報を次のように使用する可能性があると述べている。
CRAはこの情報を使用して、特定の取引を税務申告で報告されたものと一致しているか検証するでしょう。またCRAは内部リスク評価を行い、これらが監査で追求する価値があるかどうかを判断します。
仮想通貨取引所Coinsquareは約200,000のアカウントが存在しており、このような膨大な量の情報をCRAが要求したのはこれが初めてである。また、これらの大量の情報を処理する機関の能力テストを兼ねているとの指摘もある。
実際に、仮想通貨を利用した犯罪は近年急増しており、CRAは2019年に54件のの仮想通貨関連犯罪の捜査を行ったことを明らかにしている。仮想通貨はこれまで、法整備が明確になされていないことや、課税対象である取引が膨大であることなどから、犯罪に利用されやすい背景があったことが挙げられる。
またPiccolo氏によると、今回の税務調査は、仮想通貨で税金を回避できると信じている他のトレーダーへの警告になる可能性があり、犯罪が発生する前に阻止することを期待しているとも述べている。一方で、CoinsquareのCEOであるStacyHosiak氏は「Coinsquareは堅牢な顧客検証プロセスを維持しており、顧客が仮想通貨取引活動に関連するすべての適用可能なカナダの法律を遵守していることを約束します。」と述べている。
CRAは今年3月にも、仮想通貨取引所QuadrigaCXに対して、約115,000人のユーザー情報の提出を求めており、仮想通貨関連の犯罪に厳しい目を向けている。