オーストラリア中央銀行、デジタル通貨プロジェクトを発表

オーストラリア中央銀行、デジタル通貨プロジェクトを発表

オーストラリア準備銀行(RBA)は、分散型台帳技術(DLT)を活用した中央銀行デジタル通貨(CBDC)プロジェクトを開始し、CBDCの影響を調査することを発表した。RBAによると、このプロジェクトはオーストラリアの決済システムにおける、CBDCが将来的に役割を持つかどうかを調査することを主な目的としている。

具体的には、イーサリアムベースのDLTプラットフォームでのトークン化されたシンジケートローンでの資金調達、決済、返済の有用性や、トークン化された形式のCBDCの発行に関する概念実証の開発が含まれる。またCBDCに関する調査プロジェクトで、コモンウェルス銀行(CBA)、ナショナルオーストラリア銀行(NAB)、ブロックチェーンテクノロジー企業であるPerpetual and ConsenSysSoftwareとの提携も明らかにされている。

RBAのミケーレブロック副総裁は、「このプロジェクトでは、ホールセール金融市場取引における効率性、リスク管理、イノベーションに対するCBDCの影響を調査することを目的としています。」と述べ、次のように市場のユースケースについて付け加えた。

これらの市場でのCBDCの使用のケースは今だに明らかではありませんが、オーストラリアの決済システムで卸売CBDCの将来の役割があるかどうかを調査するために、業界パートナーと協力できることを嬉しく思います。

CBDCには慎重な姿勢

RBAの決済政策責任者は10月14日、金融機関がCBDCを発行するための強力な政策ケースはないと述べたにも関わらず、今回CBDCの調査に至っているようだ。というのも、RBAはCBDCの小売り向け利用は検討していないとのことで、CBDCを他のビジネスプロセスと統合させることで、トークンベースの大量決済と支払いを可能にすることを目指している。

しかしその一方で、オーストラリアドルCBDCを発行することに焦点を当てた研究を行うための、イノベーションラボを設立しているとの情報もあり、一般の実用化も噂されている。RBAはCBDCプロジェクトを年内までに終了する見込みであり、2021年に報告書を発行する予定であることも明かしている。