韓国仮想通貨取引所の運営、登録制へ

韓国仮想通貨取引所の運営、登録制へ

韓国国会が3月5日、仮想通貨取引所にライセンスを義務付け、アカウントも実名制とする「特定の金融取引情報の報告と使用に関する法律改正案」を可決した。この改正案の可決により、韓国国内の仮想通貨取引所は、2021年9月までに韓国金融情報分析院(KoFIU:Korea Financial Intelligence Unit)への登録をしなければ、運営ができなくなる。

韓国はこれまで、仮想通貨取引所の規制がなく、2019年9月時点で70以上の取引所が存在している。市場は飽和状態にも関わらず、取引量の虚偽報告や詐欺、インサイダー、仮想通貨の価格操作などが問題となっており、政府主導の対策が待たれていた。

改正した同法案は、仮想通貨に関連したあらゆる規制を強化する狙い。仮想通貨取引所の登録制だけでなく、既存の銀行などの金融機関にのみに限定していた資金洗浄防止(AML)、テロ資金調達防止(CFT)の義務を、仮想通貨取引所などの仮想通貨事業者にも付与することも軸となっている。

具体的な取り組みとして、取引所は、①実名制入出金アカウントサービスと、②情報保護管理システム(ISMS)認証を導入した上で、FIUに申告を行うよう、定められる。マネーロンダリング防止のため、仮想通貨関連企業が、韓国国内の銀行と連携し、口座の実名制を徹底しなければならない。韓国はすでに銀行口座の実名制入出金制度を施行しているが、仮想通貨の事業で、法律に準拠し規制要項を満たす基準の設置は今回が初めてとなる。

同法案の施行で規制が強化され、同国内における仮想通貨取引が安全となる見方がある一方、取引所の運営コストが跳ね上がり、取引所運営を辞めたり、事業売却などの取引所事業を撤退したりする可能性が出てきている。

韓国の仮想通貨メディアThe News Asiaは、6か月後の猶予が過ぎた際、法の基準を満たす韓国の仮想通貨交換所は4社から6社しか残っていない可能性を指摘。The News Asiaによると、韓国で実名制の銀行システムと連携しているのはUpbit、Bithumb、Coinone、Korbiの4交換所に過ぎず、国際標準と同等のセキュリティ基準「ISMS認証」を取得している取引所は、GoPaxとHanbitcしかない。

法の要件を満たさない中小取引所の淘汰が進み、業界再編が起きるのは射程圏内であるとみられている。