BNYとのパートナーシップで実現する常時稼働の米ドル決済
SGB(Singapore Gulf Bank:シンガポール・ガルフ銀行)は、大手金融機関BNY(旧ニューヨーク・メロン銀行)が提供する24時間365日稼働の送金ネットワークを導入し、米ドル決済サービスの拡充を発表した。
SGBはこの即時決済ソリューションを世界で最も早く採用した金融機関の一つとなる。従来の銀行取引では、週末や米国の祝日、あるいはタイムゾーンの違いによって資金移動に遅延が生じることが課題だった。今回のネットワーク参加により、SGBに口座を持つ対象の法人および個人顧客は、金融機関の営業時間に縛られることなく、いつでも米ドルの送金や口座入金、国際的な決済取引ができるようになる。
SGBのアリ・ムーサ(Ali Moosa)執行副会長は、顧客の事業基盤がグローバル化しており、従来の米国の銀行営業時間内だけではビジネスニーズに対応しきれなくなっている現状を指摘。また、BNYでEMEA地域(※1)のグローバル・ペイメント&トレード部門を率いるバナ・アッカド・アズハリ(Bana Akkad Azhari)氏も、この継続的な決済機能の導入が企業の流動性管理や即時の資金準備において極めて有効であると述べている。
Europe:ヨーロッパ、Middle East:中東、Africa:アフリカの3つの地域を組み合わせた略称
なお、SGBはバーレーン中央銀行のライセンスのもとで運営されており、同国の政府系ファンドであるムムタラカットやシンガポールの投資会社ワムポア・グループからの支援を受けて成長を続けている。
デジタル資産市場を支えるインフラSGB Netと機関投資家向け連携
SGBはBNYとの提携に先立ち、デジタル資産領域における決済基盤の強化も加速させている。
暗号資産取引所Kraken(クラーケン)の親会社であるPayward(ペイワード)は、SGBが開発したリアルタイム決済プラットフォーム「SGB Net」との統合を実施した。この連携により、アジアや湾岸地域をはじめとする機関投資家顧客は、暗号資産取引に伴う資金移動や決済を24時間体制かつ即時に完了させることが可能となる。
当初は米ドル建ての取引を中心にサポートを開始しているが、今後は対象となる通貨や利用顧客の範囲を順次広げていく方針だ。さらに、SGBはKraken Prime(クラーケン・プライム)を流動性供給パートナーとして採用し、自社の取引価格の設定や決済インフラの安定化に役立てている。
Paywardのマーク・グリーンバーグ(Mark Greenberg)CCO(最高商務責任者)でによると、Web3や暗号資産市場で活動する企業や取引所が24時間体制でオペレーションを行っているのに対し、伝統的な銀行システムには厳格なカットオフタイムが存在することが課題となっていた。
SGB Netは月間200億ドル(約3兆円)を超える法定通貨取引を処理しており、デジタル資産分野の成長に伴う新たな決済ニーズを支える重要な役割を果たしている。
暗号資産分野へ攻勢をかけるBNYの最新ブロックチェーン戦略
BNY自体も、暗号資産やブロックチェーン技術を活用した先進的な金融インフラの構築を積極的に進めている。
同行は機関投資家向けサービスの一環として、Galaxy(ギャラクシー)との提携により、自社のデジタル資産カストディ(保管)プラットフォームにステーキング機能を統合する計画を打ち出した。顧客資産の安全な保管状態を維持しながらステーキング運用を行える仕組みを提供しようとしており、現在は規制当局による審査が進められている。
さらに、BNYはプライベートブロックチェーンを活用した預金トークン化サービスや、ファンドの所有権記録を共有台帳上で管理するデジタル・トランスファー・エージェンシー(証券事務代行)のプラットフォーム開発にも取り組んでいる。8兆ドル(約1,267兆円)以上の資産事務を手掛ける同行がブロックチェーン技術を取り入れることで、従来の証券代行業務と並行しながら、ファンドのトークン化や運用の効率化を推進している。
このように、SGBとBNYの連携拡大は、伝統的な国際金融インフラと先進的なデジタル資産決済システムが融合し、24時間365日止まらないグローバル決済環境が本格化していることを示している。
























