フィリピンSECが規制姿勢を強化で無認可取引所を排除へ
フィリピンSEC(フィリピン証券取引委員会)は、国内ライセンスを取得していない仮想通貨取引プラットフォームへの規制を強化し、Coinbase(コインベース)およびGemini(ジェミニ)へのアクセス制限を実施した。
インターネットサービスプロバイダーを通じた遮断措置は、無認可事業者の排除と市場管理の徹底を目的としたもので、同国の仮想通貨規制が新たな段階に入ったことを示している。
無認可取引所を対象にISP経由で遮断
今回の措置は、国家電気通信委員会が国内のインターネットサービスプロバイダーに対し、無認可で運営されていると判断されたオンライン取引プラットフォームへのアクセス制限を命じたことを受けて実施された。
2025年12月下旬以降、フィリピンのユーザーからはCoinbaseおよびGeminiに接続できないとの報告が相次いでいる。国家電気通信委員会は、フィリピン中央銀行が適切な許可を得ていないと特定した約50のオンライン取引プラットフォームを対象に、通信事業者を通じた遮断を指示した。影響を受けたプラットフォームの完全なリストは公表されていないものの、複数のインターネットサービスプロバイダーで同時に制限が確認されており、両取引所はいずれも全国的にアクセス不能な状態にあるとされる。
当局は、仮想通貨関連サービスについて事前のライセンス取得を市場参加の前提条件とする姿勢を明確にしており、今回の対応は無認可営業に対する警告として位置付けられる。
Binance事例が示す規制方針の転換
CoinbaseとGeminiへのアクセス制限は、無認可取引所に対する執行措置の延長線上にある。
2023年12月、フィリピン当局はBinance(バイナンス)に対し、現地規制への対応を求める90日間のコンプライアンス期間を設け、証券取引委員会はその期間中にユーザーが資金を引き出すよう呼びかけていた。
要件が満たされなかったことを受け、2024年3月25日に国家電気通信委員会はインターネットサービスプロバイダーへBinanceのブロックを命令した。さらに同年4月には、証券取引委員会がAppleおよびGoogleに対し、Binanceのアプリを国内のアプリストアから削除するよう指示している。
当局はその後、OKX、Bybit、KuCoinを含む約10の取引所が必要なライセンスを取得せずに国内で運営されていると指摘しており、フィリピンの仮想通貨規制は明確なルールに基づく管理へと移行している。
規制下で進む認可事業者のサービス展開
一方で、今回の規制強化は仮想通貨関連サービス全体を抑制するものではない。フィリピンでは、ライセンスを取得した事業者によるサービス展開が進んでいる。
現地取引所PDAXは、給与計算サービスプロバイダーTokuと提携し、リモートワーカーがステーブルコインで給与を受け取り、ペソへ換金できる仕組みを導入した。また、デジタルバンクのGoTymeは、米国拠点の証券インフラ企業Alpacaとの提携を通じて仮想通貨関連サービスを開始している。今回の措置は、グローバルな取引所であっても現地規制を満たさなければ市場へのアクセスが制限されることを示しており、フィリピン市場はより管理された環境へ移行しつつある。
























