タイ警察が仮想通貨詐欺容疑で韓国男性を逮捕
2025年8月23日(土曜日)、タイ警察は5,000万ドル相当のテザー(Tether/USDT)ステーブルコインを金塊にロンダリング(資金洗浄)した容疑で逮捕された。
Thai police have arrested a 33-year-old South Korean man for allegedly laundering cryptocurrency for call-centre gangs by converting it into gold bars, with transactions worth more than 1.6 billion baht over a three-month period.
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— Bangkok Post (@BangkokPostNews) August 23, 2025
タイ警察は、コールセンターのギャング団のために仮想通貨を金塊に換金し、マネーロンダリングを行った容疑で、33歳の韓国人男性を逮捕した。3カ月間で16億バーツを超える取引があった。
タイのバンコクで、わずか3カ月間で、5,000万ドル相当の仮想通貨を金塊にロンダリングした容疑で韓国人男性が逮捕された。タイ当局によると、「ハン」呼ばれるこの容疑者は、30~50%の投資利益率を約束し、被害者を誘い込むギャング組織によるコールセンター詐欺ネットワークの中心人物とみられている。当局によると、被害者は当初、信頼関係を築くために少額の支払いを受け、その後、出金制限に直面していたという。
一方、容疑者は米ドルに連動するステーブルコインであるテザーを4,730万ドル(約69.7億円)保有していたとみられている。容疑者はデジタル資金を使って、それぞれ10キログラム(22ポンド)を超える金塊を購入したとみられており、1回の取引額は100万ドル(約1.5億円)以上にのぼっている。
国外への移動を狙う金塊を使った不正
警察によると、金塊は不正な仮想通貨を実体のある商品に変換し、詐欺師たちが検挙されることなく国境を越えて移動できるようにするために使われたという。
被害者からの被害届が出始めた後、タイ刑事裁判所は2月に同容疑者とその仲間に対し逮捕状を発行。タイの現地メディアによると、同容疑者を含む11人が詐欺に関与したとして逮捕されている。その後タイのTCSD(テクノロジー犯罪対策局)は、バンコクのスワンナプーム空港で同容疑者を逮捕したと発表。詐欺、なりすまし、コンピューター犯罪、マネーロンダリング、犯罪組織への関与に問われている。
過去1年間で仮想通貨詐欺が456%増加
ブロックチェーン情報会社TRM Labsのデータによると、2024年には世界中で仮想通貨詐欺の被害者が107億ドル(約1.5兆円)という莫大(ばくだい)な損失を被ることになる。
報告書によると、世界全体で過去1年間に仮想通貨詐欺が456%増加しており、専門家は、仮想通貨へのアプローチには注意を払い、場合によっては完全に避けるよう勧告している。
タイ、仮想通貨に賭ける
今回の詐欺の一方は、タイ政府が観光産業の活性化を目指し、仮想通貨に大きく賭けている中で報じられたものだ。
当NEXTMONEYの2025年8月19日付け特集記事「タイ、観光客向け仮想通貨決済サンドボックス「TouristDigiPay」を開始」でも報じているように、先週初め、タイは観光客がタイに拠点を置く仮想通貨交換プラットフォームを通じて仮想通貨を現地通貨タイバーツに両替し、地元企業への支払いに利用できるようにする1カ月間の試験プログラムを発表した。また、ロイター通信によると、タイ財務省はマネーロンダリング防止のため、交換額を55万バーツ(約250万円相当)に制限すると発表した。