SECは執行措置ではなく、正式な通知・コメント制度を採用
SECは今後、仮想通貨に関する規制を策定する際、これまでのような執行措置ではなく、正式な通知・コメント制度を採用していくことが分かった。
SEC(米国証券取引委員会)のポール・アトキンス(Paul Atkins)現委員長は上院小委員会に対し、仮想通貨に対する自身のアプローチは「執行による規制ではなく、通知とコメントに基づくルール策定を通じて行われる」と述べた。この方針転換により、規制案が発効される前に一般からの意見を募れると主張。時代遅れの執行による規制を、通知・コメント制度に置き換える計画を発表し、この制度では、規制案は最終決定前に公開され、業界からの意見を募る。
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SECが新たに策定したパブリックコメント制度に関する政策ロードマップは、ゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)前委員長の“執行重視”の手法とは大きく対照的であり、今変更は、仮想通貨規制の透明性と予測可能性を高め、より優しい環境を目的としている。現SEC委員長は「米国上院歳出委員会金融サービス・一般政府小委員会における証言」の中で、自身の任期における最優先事項について、次のように述べている。
仮想通貨市場のための合理的な規制枠組みを構築し、仮想通貨の発行、保管、取引に関する明確なルールを確立するとともに、悪質な行為者による違法行為を抑止し続けることです。政策立案は、執行による規制ではなく、通知とコメントに基づく規則策定を通じて行われます。SECは既存の権限を活用し、市場参加者にとって目的に適った基準を設定します。
具体的にどのように機能するのか
通知とコメントのプロセスは、単なる業界からのフィードバックループではなく、行政手続法で定められた正式な規制プロセスである。
このプロセスでは、SECは新たな規制を最終決定する前に、連邦官報に規則案を公表。そのうえで、一般からのフィードバックを求め、主要な懸念事項に対応しなければならない。このプロセスには数カ月、あるいはそれ以上かかる場合もあるが、このアプローチは執行による規制よりも民主的で、一貫性があり、効果的であると一般的に考えられている。
APA(米国行動計画法)第553条に基づき、SECは以下の義務を負う。
- 規制内容と根拠を概説した規則案を連邦官報に掲載
- 市場参加者、学者、一般市民からのフィードバックを受け付けるパブリックコメント期間、通常30~60日間を設置
- 重要なコメントを検討・対応し、必要に応じて提案内容を調整
- 変更点を理由付きで最終規則を公布
なお、現SEC委員長は次のように述べ、締めくくっている。
SECにより、執行アプローチは議会の本来の確立された義務の違反を取り締まるという当初の意図に立ち返ることになる明確なルールは、投資家を詐欺から守るために必要であり、法律に違反する詐欺を特定する上でも重要です。