マレーシアで違法ビットコインマイニング事業者が摘発される
マレーシア当局は2025年5月1日(水曜日)、大規模な電力窃盗に関与したとされるビットコインマイニングシンジケートを摘発した事を発表した。
現地メディアの報道によると、トレンガヌ州警察は強制捜査の一環として、テナガ・ナショナル社の特別損失対策部隊と協力し、ブキット・ペルパットの住宅地とワカフ・タパイの商業施設の2カ所で違法なビットコイン(Bitcoin/BTC)マイニングマシン45台を発見し、押収。これらの事業は、電力供給への無許可の接続によって促進されていると報告されており、州に甚大な経済的損害を与えている。
モハメド・カイリ・カイルディン(Mohd Khairi Khairuddin)トレンガヌ州警察署長は、今回の捜査について、電力メーターをバイパスして検知を逃れるために改造されたとみられる物件を標的にしていたことを明らかにした。当局は、電力窃盗によりTNB(テナガ・ナショナル・ベルハド)は毎月約3万6,000リンギットの損失を被ったと推定している。
現時点で逮捕者は出ていないが、すべての機器は捜査のため地区警察本部に移送されており、この事件は、窃盗および損害賠償、ならびに1990年電力供給法第37条に基づき捜査されている。有罪判決を受けた場合、最高5年の懲役、最高10万リンギット(約335万円)の罰金、またはその両方が科せられる可能性がある。
現在マレーシアでは、違法ビットコインマイニング事業に関連した電力窃盗が爆発的に増加しておりし、甚大な経済的損失に直面。マレーシア唯一の電力会社であるマレーシア電力会社は、毎月8,300ドル(約120万円)の損失を被っており、地方当局の間で懸念が高まっている。
マレーシアにおけるビットコインマイニング問題
ビットコインマイニングと違法なエネルギー使用は、マレーシアで懸念が高まっている。
今年(2025年)2月中旬、クアラルンプールのある住宅で火災をきっかけに違法マイニングが発覚し、捜査を開始。消防隊員は、改造された配線と、違法に電力を供給していた複数のマイニングリグを発見している。
マレーシアの国営電力会社であるTNB社は、2020年以降、違法ビットコインマイニングに関連した電力窃盗により、1億100万ドル(約146.6億円)以上の損失を報告している。
マレーシアでは、ビットコインマイニングは合法だが、電力インフラへの不正な改ざんは深刻な法的措置を講じる可能性がある。当局は、2021年の中国による禁止措置以降、違法マイニング事件が増加しており、この事件によって業界の負担が東南アジア諸国に移っていることへの対処を目指している。イランやベネズエラなどの他国でも、違法マイニングによる電力網のひっ迫に直面。タイなどの近隣諸国も深刻な課題に直面しており、取り締まりや禁止措置が取られているのが現状だ。