英国の新法案、仮想通貨とNFTを法的財産資産として定義
英国政府は、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)などのデジタル資産が既存の財産法でどのように扱われるかを明確にするための新法案を導入したことが明らかになった。
提案されているProperty Bill(財産請求書)は、デジタル資産を個人の財産とみなすことができる「モノ」として正式に認識し、別の法的カテゴリーを創設するものだ。これは、英国におけるデジタル資産の明確な法的枠組みの確立に向けた重要な一歩であり、今法案は、急速に進化するテクノロジーに対応するため、英国の財産法を近代化することを目的としている。
法案は、離婚調停や詐欺事件における暗号所有権をめぐる紛争など、デジタル資産をめぐる複雑な法的問題を明確にすることを目指しており、仮想通貨とNFTを別個の種類の財産として定義することで、デジタル資産に関わる詐欺や詐欺行為から個人と企業の双方を保護することを目的としている。
ハイディ・アレクサンダー(Heidi Alexander)労働党議員兼国務大臣は、仮想通貨分野における英国のグローバルリーダーとしての地位を維持するため、法律を最新の状態に保つことの重要性を強調したうえで、次のように述べている。
法律が進化するテクノロジーと歩調を合わせることは不可欠であり、この法律は、仮想通貨の世界的リーダーとしての地位を維持できることを意味する。
デジタル資産の法的地位を定義に向けた取り組み
この新しい法的枠組みの推進は、英国司法省が委託した2023年の報告書が発端となっており、報告書は、デジタル資産が、個人財産権を保持できる財産として扱われているにもかかわらず、現行法では所有物や行動物といった従来のカテゴリーに容易に当てはまらないことを指摘している。
また、財産法案の導入は、労働党政権が7月の選挙後に政権を奪取して以降、デジタル資産を規制するための最初の重要な動きのひとつである。しかし、議会の休会や党大会の時期が迫っているため、法案の進展は遅々として進まないと見られている。とはいえ、この法案の導入は、急速に進化するデジタル経済において、より法的な明確性を高めるための極めて重要な一歩となると見られている。英国が仮想通貨をより明確に規制しようとする動きは、デジタル資産の法的地位を定義しようとする国々の幅広い傾向に沿ったものである。一方で、大西洋を隔てた米国では、議員やSEC(米国証券取引委員会)のような規制機関も、成長する仮想通貨業界をどのように規制するかに取り組んでいる。
今後行われる選挙の結果は、米国における仮想通貨規制の方向性に影響を与える可能性があり、世界中の政府がデジタル資産がもたらす課題にどのように適応しているかを浮き彫りにしているようだ。