仮想通貨管理会社Copper社が、ロシアの武器取引ネットワークとの関係団体に400万ドル以上を送金か

仮想通貨管理会社Copperがロシア武器取引ネットワークとの関係団体に400万ドル以上を送金

英国の大手メディアGuardian(ガーディアン)とICIJ(国際調査ジャーナリスト連合)の共同調査により、Copper社と米国から制裁を受けたロシア人ジョナタン・ジメンコフ(Jonatan Zimenkov)氏との関係が明らかになった。

ICIJとガーディアン紙が共同で行った最新調査で、Copperがロシアの武器取引ネットワークとされるメンバーに関連するウォレットに420万ドル(約6億円)以上に相当する仮想通貨を送金していたことが明らかになった。報告書によると、Copperは、イスラエル生まれの制裁対象ロシア国民であるジョナタン氏に仮想通貨を送金。この分析により、Copperと同氏との関係が明らかになった。同氏は、ロシアのサイバーセキュリティとヘリコプターの海外販売に関する複数の取引に関与。米国財務省によると、ロシアの防衛資材の販売を可能にするため、ロシア国営武器輸出企業Rosoboroneksport(ロソボロネクスポルト)の潜在顧客と直接関与した疑いで2023年2月に米国から制裁を受けている。分析では、ジョナタン氏が父親のイーゴリ・ジメンコフ(Igor Zimenkov)氏の率いる武器取引と制裁回避ネットワークであるZimenkov network(ジメンコフネットワーク)のメンバーであることが指摘されている。

ICIJによると、Copperは2021年5月に「数百万ドル」相当の仮想通貨をジョナタン氏のウォレットに送金。しかし報告書は、ジョナタン氏が制裁を受けたのは19カ月後だったと指摘したうえで、次のように述べている。

Copperが取引時に実施されている制裁やその他の規制に違反したという示唆はありません。


ジメンコフ氏はCopper社の登録顧客ではなかった

今回の調査では、ジメンコフ氏がCopper社の登録顧客ではないことも浮き彫りとなり、仮想通貨管理者に身元を明らかにする必要がなかったことが示唆された。

ただし、英国の金融機関には、取引で懸念が生じた場合に不審行為報告書を提出する裁量権があるが、今回のケースで同社がそのような行動をとったかどうかは不透明で、同社はこの件に関して公式声明を出していない。

今回の暴露は、制裁を受けているロシアの銀行家ミハイル・クリューキン(Mikhail Klyukin)氏が1,900万ドル(約28億円)相当のCopper株を売却したことを明らかにしたガーディアン紙の報道に続くものである。この売却は、同社の株式の2%以上を支配していたクリューキン氏が2022年3月に米国から制裁を受けたことを受けて、懸念に対処するためにCopper社によって画策されたと報じられている。

Copperは、2018 年にドミトリー・トカレフ(Dmitry Tokarev)現CEO(最高経営責任者)によって設立され、仮想通貨への投資、取引、使用を検討している企業にサービスを提供。2022年3月に同CEOはCopper公式サイトで声明を発表し、クレムリンのウクライナに対する軍事攻撃を非難し、ロシア政府はすべてのロシア人を代弁しているわけではないと語っていた。