中国政府が現地AI企業支援プログラムを発表
中国政府は、米国のチップ規制のさなか、地元のAI（人工知能）企業を支援する画期的な取り組みを発表した。
中国は、AI分野を強化するためのより大きな戦略の一環として、現地のAI企業を支援する革新的なプログラムを明らかにした。中国政府は、これらの成長企業が米国の厳しいチップ制限によって引き起こされる障害を克服するのを支援するために「コンピューティングバウチャー」の提供を発表。この措置は、革新的で回復力のある AI エコシステムを育成するという中国の決意をさらに示している。
中国当局は、米国の制限によりプロセッサの入手に苦戦しているAI企業を支援するために介入。上海は、データセンターの運営費の高騰に対処する企業を支援するために、政府が「コンピューティングバウチャー」の提供を約束した17都市のうちの1つである。これらのバウチャーの価値は140,000ドルから280,000ドル（約2,100万円～4,200万円）におよび、AI 開発にとって重要な LLM（ Large Language Models：大規模言語モデル）のトレーニングと実行に役立つことを目的としているとのことだ。
チップ不足と価格上昇問題への対応
クラウドコンピューティングサービスを利用する中国のインターネット企業は多くの問題を抱えており、今回の取り組みが促進された。
米国の規制強化により企業は契約をキャンセルしており、その結果AIプロセッサーが不足し、社内用や優先顧客のためにリソースを確保せざるを得なくなっている。さらに、米国バイデン政権は、中国への半導体出荷を制限。企業はNvidiaのゲームチップを再利用したり、さらには違法市場で販売したりするなど、創造的な解決策を見つけることを余儀なくされている。
専門家らは、「コンピューティングバウチャー」は、たとえAIビジネスを財政的に支援することを目的としているとしても、チップ不足という根本的な問題を解決するものではないと警告。この取り組みに加えて、中国政府は国産チップを使用するAIグループを対象とした補助金プログラムの立ち上げを計画していると言われている。さらに、中国は2023年、ビッグテックによるデータセンターとクラウドサービスの支配に対抗することを目的として、国営データセンターとオンラインプラットフォームのネットワークを構築してきた。
起こり得る制限を考慮した妥当性
米国とオランダからの半導体輸出に対する追加制限の差し迫った危険を考慮すると、中国の人工知能ビジネスを支援するという選択は極めて重要である。
こうした措置はチップ不足をさらに悪化させる可能性があり、中国が国内のAI産業を強化することがいかに急務であるかを浮き彫りにしている。このような障害にもかかわらず、中国のAI起業家は世界規模で目覚ましい進歩を遂げている。特に、アリババと他の投資家は少し前にAIスタートアップ01.AIに2億ドル（約300億円）を投入。この巨額の投資により01.AI はAI進歩の先駆者となり、世界規模での中国AIビジネスの影響力の増大を浮き彫りにしている。
