中国が偽のデジタル人民元アプリを警告
中国情報化部は、偽CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)アプリが出回っているとして国民に向けて警告を発したことが明らかになった。
中国政府は、CBDC拡大試験に参加しているユーザーを詐取しようとするデジタル元= e-CNYテスト版について、ユーザーに警告。中国政府によると、ロゴ、ユーザー・インターフェース、スローガンは、オリジナル人民元アプリに見られるものと酷似しているが、ソフトウェアのバージョン番号とパッケージが異なるとのこと。
偽アプリはパッケージ名、バージョン番号、MD5(メッセージ・ダイジェスト・アルゴリズム)が異なっており、オリジナルのe-CNYアプリに付加されているパッケージ名はcn.gov.pbc.dcepだが、偽アプリのパッケージ名はcom.ecny.ecny2になっているという。
中国が近いうちに米ドルに取って代わる可能性
この偽アプリは、ユーザーがソフトウェアを共有することで配当金を受け取るという、人気の仮想通貨詐欺の特徴を備えており、中国政府が自国通貨の影響力を強めるにつれ、こうした詐欺の人気は高まっている。
現段階では、どのOSが偽アプリをホストしていたのかは不明であり、中国の法執行機関は、アプリが違法であったり、違法なコンテンツを含んでいる場合、アップルにApp Storeからアプリを削除するよう求めることがある。実際、アンドロイドメーカーのグーグルは、コンテンツの削除要請は慎重に評価すると述べており、コンテンツの削除を望む当事者は、その要求を裏付ける裁判書類を提出することが多いとのこと。
中国人民銀行は2022年に公式の人民元アプリ「Shuzi Renminbi」をローンチしており、このアプリには複数のデジタルウォレットがあり、銀行口座から送金ができ、タップして支払うという行為は、銀行ATMでの引き出しに相当する。不換紙幣であるe-CNYの利用拡大は、中国が世界の貿易を支配する可能性を示唆しており、最近、アラブ首長国連邦と中国の間でCBDCが交換されたことから、e-CNYは貿易協定に参加する可能性がある。この動きは、複数の中央銀行を結ぶ新しいCBDCブロックチェーンインフラをテストする最初の段階のひとつであったとのこと。
一方で、深セン市昊地汽車販売服務有限公司は最近、e-CNYでの自動車購入代金の預かりを開始しており、ウォール街のベテラン、リチャード・X・ボーブ(Richard X Bove)氏は最近、中国が近いうちにドルに取って代わる可能性があると米国に警告したうえで、次のように語っている。
他の場所で商品を作っている人々は、生産手段をどんどん支配するようになり、世界経済をどんどん支配するようになり、その結果、貨幣をどんどん支配するようになる。