カザフスタンがデジタルテンゲTengeを正式に導入
カザフスタンのデジタル金融にとっての重要な一歩として、NPC(国家決済公社)のビヌール・ジャレノフ(Binur Zhalenov)会長は、デジタルテンゲをカザフスタンの小売市場に正式に導入したことが明らかになった。
アルマトイで開催された第11回金融会議でのスピーチの中で同氏は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)口座にリンクされたデビットカードを使って最初の取引をし、デジタルテンゲの機能を実証したとのこと。この開発は、カザフスタンのデジタル金融への旅におけるマイルストーンであり、銀行部門における技術的進歩を受け入れる国のコミットメントを示すものであるとのこと。さらに、デジタルテンゲの開始は、カザフスタンの金融技術の飛躍的進歩を意味すし、この革新は、取引を合理化し、より効率的な経済を促進することを約束するものだ。
シームレスな決済体験の提供を目指す
このデジタル通貨は、シームレスな決済体験を提供するよう設計されており、Apple Pay(アップル・ペイ)やSamsung Pay(サムスン・ペイ)といった一般的な決済プラットフォームと難なく統合できる。
この統合により、ユーザーはグローバルにデジタルテンゲで取引できるようになり、その実用性と魅力が高まるとされている。また、デジタルテンゲの統合をさらに進めるため、カザフスタンは地元の銀行とともに、Visa(ビザ)やMastercard(マスターカード)といった大手金融機関と提携している。今提携は、デジタルテンゲと既存の決済インフラとの互換性を確保するというカザフスタンのNPCのコミットメントを強調するものである。
このような協力関係は、消費者にとってよりスムーズな移行への道を開くほか、既存の決済インフラとの互換性、消費者と加盟店に対して伝統的なデジタルバンキングのギャップを埋めると期待されている。
革新的なアプリケーションへの扉を開く
ザレノフ氏はデジタルテンゲのプログラマブルな可能性を強調しており、この機能は、スマートコントラクト、デジタル資産取引、新しい金融サービスといった革新的なアプリケーションへの扉を開くものとなった。
NPCは2024年、デジタル通貨によるオフライン決済の実現に注力する予定であり、2025年までには、デジタルテンゲの国境を越えた取引への応用を拡大し、世界のデジタル通貨における地位をさらに強固なものにすることを目指している。カザフスタンがデジタル通貨イニシアチブを加速させる一方で、当局は同時に仮想通貨市場の規制を強化。ここ数カ月では、現地ライセンスを持たずに運営している仮想通貨取引所に対する監視が強化され、この規制の変化は、デジタル革新と金融安全保障のバランスをとるという政府のアプローチと一致している。
現地の仮想通貨マイニング事業者は、こうした規制の変化を受けて、カシム・ジョマルト・トカエフ(Kassym-Jomart Tokayev)大統領に接触しており、彼らは自分たちの活動に課される新しい税率の改定を要求。コンプライアンスとセキュリティを確保しながら成長を促進するバランスの取れた規制へのアプローチの必要性を強調している。