仮想通貨取引所バイナンスUSとSECは資産凍結回避で妥協間近
現在渦中の真っただ中にあるバイナンスUS(Binance.US)とSEC(米国証券取引委員会)に対し、同取引所資産の凍結を回避するための合意をまとめる時間を与えることを決定した事で、資産凍結を延期したことが分かった。
世界有数のデジタル資産取引所であるバイナンスの米国子会社であるバイナンスUSと米国の証券監督機関であるSECは、裁判所がプラットフォームを凍結するかどうか決定する必要性を回避する協定に取り組むことで合意。6月13日(火曜日)に開かれた公聴会で、米国地方判事のエイミー・バーマン・ジャクソン(Amy Berman Jackson)氏は、仮想通貨ビジネスに支障をきたすことなく数十億ドル相当の顧客資金を確実に保護するという妥協点に関して、取引所と委員会は、“それほどの隔たりはない”と発表した。
バイナンスUSはSECの要求に強く反論
SECは、バイナンスとバイナンスUSの運営会社、およびその創設者であるジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏に対し、ユーザー資金を不正に扱った疑いで起こした訴訟の期間中、バイナンスUS上の資産に対する一時差し止め命令を要求。
同取引所の弁護団は、規制当局が「緊急事態」を「でっち上げた」と主張し、取引所の却下を要求。公聴会では顧客資産は安全だと主張し、取引を阻止すれば実際に顧客に損害を与えると強調しているほか、大手メディアのブルームバーグは次のような弁護士の発言を報じている。
私たちは事件から8日目に死刑を受け入れるつもりはありません。
弁護団は、バイナンスUSは従業員やベンダーへの支払いなど事業経費を賄える必要があると主張。同判事は、取引所の閉鎖は「同社だけでなくデジタル資産市場全体に重大な影響をもたらすだろう」との見解に同意。さらに同判事は、両国が合意に達すれば、SECの要請に応じて裁定を下す必要はなくなるとも述べた。
SEC訴訟では、バイナンスが顧客の資金をジャオ氏が管理する事業体に譲渡し、その後仮想通貨の売買に使用されたと主張している。同取引所が提案した妥協案では、米国の顧客の暗号資産を、米国を拠点とするバイナンスUSの役員の管理下にある新ウォレットに移動させることが想定されている。なお、SECの提案も同様で、バイナンスに対し顧客資産を米国に送還するよう要求している。