2022年は仮想通貨マネーロンダリング増加で記録的な年となった

仮想通貨マネーロンダリングが増加

仮想通貨が登場するまで、不正資金の資金洗浄は複雑なプロセスを要していたが、仮想通貨の登場により、マネーロンダリングを容易にし、犯罪行為に関連した資金を違法に変換する事が増加傾向にあり、これによって法執行機関が注視している事が分かった。

マネーロンダリングは、犯罪行為による収益を合法的な資金に違法に変換することが含まれ、これは合法ビジネスを通じて違法に得たお金を運用することによって行われている。その目的は、検出を回避し、違法な資金を合法的な利益として偽装することだ。しかし、犯罪者はますます仮想通貨に目を向けており、仮想通貨には、犯罪組織にとって非常に魅力的な選択肢となる2つの特徴を有している。

第一に、仮想通貨の分散型の性質により、ある程度の匿名性が可能になり、法執行機関が取引を追跡することがより困難になる可能性がある。第二に、国境を越えた送金の利便性は、多額のお金を迅速かつ慎重に移動したい人にとって便利な結果、仮想通貨は、検出されずに多額の資金を移動しようとする犯罪組織にとって好ましい選択肢になっている。

2022年は仮想通貨マネーロンダリングにとって記録的な年

ブロックチェーン分析を手掛けるChainalysis(チェイナリシス)によると、2022 年は仮想通貨マネーロンダリングにとって過去最大の年であったという。

Chainalysisより画像引用

2022年には、不正なアドレスによって約238億ドル(約3.2兆円)の仮想通貨が送金されており、この数字は2021年と比較して68.0%も増加している。主流のCEX(中央集権型取引所)は、疑わしい活動を報告し、犯罪者に対して行動を起こすためのコンプライアンス措置を講じているにもかかわらず、不正資金のほぼ半分を受け取っている。これらの取引所は違法な仮想通貨が現金に変換される場所であり、注目に値すると同時に、法執行機関によって最も注目されている場所でもある。

ブロックチェーン分析会社であるElliptic(エリプティック)の最新調査結果によると、特定のクロスチェーンブリッジであるRenBridge(レンブリッジ)は、2020 年以降、犯罪活動に関連する仮想通貨で少なくとも5億4,000万ドル(約728億円)をロンダリングした事が分かっている。この金額のうち、1億5,300万ドル(約206億円)はランサムウェアの支払いに関連している。ハッカーは、企業ネットワークに侵入し、企業から支払いを強要して盗んだデータを取得した後、RenBridgeを使用。Ellipticは、RenBridgeが、ロシアに接続するランサムウェアグループの橋渡し役として重要な役割を果たしていると主張している。

アンチマネーロンダリング(AML)およびKYC(顧客確認)サービスを提供するSmartSearch(スマートサーチ)のマーティン・チーク(Martin Cheek)マネージングディレクターによると、仮想通貨は2010年代半ば以降、犯罪組織がマネーロンダリングを行うための一般的な方法となっていると述べたうえで、次のように語っている。

仮想通貨の人気と価値が高まるにつれ、犯罪者はマネーロンダリングや違法行為を隠蔽するためのほとんど規制されていない方法を提供された。時間が経つにつれて、仮想通貨は規制当局によって精査されるようになり、マネーロンダリングへの使用はより困難になりました。しかし、犯罪者はマネーロンダリングに暗号を使用する新しい方法を見つけ続けています。その結果、法執行機関や金融規制当局にとって、仮想通貨空間でのマネーロンダリングを検出して防止することは依然として課題となっています。