イングランド銀行がCBDC概念実証の申請を開始
英国の中央銀行であるBOE(Bank of England:イングランド銀行)は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)を保持できるウォレットの「概念実証」を求めていることが分かった。
BOEは12月9日(金曜日)、英国政府機関がデジタルプロジェクトの仕事募集ができるサービスの英国政府のデジタルマーケットプレイス(United Kingdom government’s Digital Marketplace)にウォレットを提供するサプライヤーの申請を掲載。ウォレットを提供するサプライヤーの申請を開始した。
今回のプロジェクトは、CBDCの相互運用性を可能にすることを目的に、CBDCのAPI(Application Program Interfaces:アプリケーションプログラム インターフェース)を開発するロンドンの BIS(Bank for International Settlements:国際決済銀行)イノベーション ハブのイニシアチブである Project Rosalind の一部である。これは別の言い方をすれば、中央銀行のCBDC台帳が民間部門の決済プロバイダーとどのようにやり取りできるかということである。なお、20万ポンド(約3,400万円)にのぼる同プロジェクトの申請期限は2022年12月23日(金曜日)となっている。
概念実証ウォレットが達成しなければならないこと
サプライヤーの申請を掲載文の中には、概念実証ウォレットが達成しなければならないことの簡単なガイドラインが概説されている。
ウォレットは、サインアッププロセス、詳細を更新する方法、残高、トランザクション、および通知を表示する方法などの基本的な機能を提供するだけでよいと記載されている。ウォレットは、アカウントIDまたはQRコードを介してP2P(peer-to-peer)の支払いを要求できることに加え、CBDCでロードおよびアンロードできることも実証する必要があるとのこと。
さらに、オンラインを介した企業の支払いにも使用できる必要がある、このプロジェクトの主成果は、iOSおよびAndroid用のモバイルアプリ、ウォレット用ウェブサイト、サンプルマーチャントウェブサイト、ユーザーデータとトランザクション履歴を保存しながらウォレットウェブサイトとアプリにサービスを提供するためのバックエンドインフラストラクチャーを作成することである。CBDCのサンプルウォレットについては、作業は行われておらず、ユーザー ウォレット自体を開発することはないとBOEは述べている。なお、BOEはCBDCサンプルウォレット開発のため、255,000ドル(約3,500万円)近くの予算を立てているとのこと。
一方で、財務省のジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)大臣は12月9日(金曜日)、財務省が今後数週間でデジタルポンドの潜在的な設計に関する協議を加速することを計画していると述べたほか、テクノロジーワーキングペーパー(Technology Working Paper)もリリースする予定とのことだ。