カナダ最大の年金制度CPPIが仮想通貨への投資を終了

カナダ最大の年金制度CPPIが仮想通貨への投資を終了か

カナダの年金制度CPP Investmentsは、仮想通貨の投資機会を研究する努力を終了したと述べている事が大手メディアの報道によって判明した。

CPP Investmentsは大手メディアのロイター通信の取材に対してコメントを拒否しているものの、同メディアに直接の仮想通貨投資をしなかったと述べたことで、カナダ最大の年金制度が仮想通貨への投資を終了したと判明したとのこと。CPP Investmentsは、約2,000万人のカナダ人ために約388億ドル(約5.3兆円)を管理しているカナダ最大の年金基金であり、仮想通貨への投資額は数百億円規模とのこと。

また、CPP Investmentsの新興投資動向を調査する部門であるAlpha Generation Labが、2021年初めに3人のチームを結成し、仮想通貨とブロックチェーンに基づく企業を研究していると報じられていた。しかし、同社は2022年に同チームを解散させており、情報筋の1人は、今年7月の時点ではまだ投資機会を評価していたと述べているが、それよりも早くに作業を終了したと述べており、いつ調査が終わったのかは不明確だ。

仮想通貨市場での債務不履行の連鎖が影響を与えたか

CPP Investmentsは、仮想通貨投資検討を終了した理由を明かしていないが、今年仮想通貨市場で起きた債務不履行の連鎖が影響を与えた可能性もあるとみられている。

実際、CPP Investmentsのジョン・グラハム(John Graham)CEO(最高経営責任者)は今年6月の時点で次のように述べている。

これらの資産の本質的な価値が何であるかを見極めてから、ポートフォリオを構築したい。そのため当社は仮想通貨について調べ、理解しようとしているが、まだ投資はしていない。

カナダの年金基金の一部は、今年の旧テラエコシステム崩壊やFTX破綻による悪影響から影響を受けており、カナダのオンタリオ州教員年金基金は、FTXの株式を購入していたことで約130億円を損失計上している。これを受けて、FTXに行っていた130億円規模の出資に関連する、株式評価額をゼロにする減損処理を強いられる形となっているとのことだ。さらに、カナダの大手年金基金CDPQも、Celsius(セルシウス)ネットワーク破綻の影響を被っており、今年8月、Celsiusへ出資した約200億円が回収困難であると判断している。

一方で、米国では、投資大手Fidelity Investments(フィデリティ)が4月に401k口座で、確定拠出年金口座の一部をビットコインの購入に充てる新プランを発表したことで、米労働省が懸念を表明し、議論を呼んでいる。仮想通貨取引所FTXに関連した仮想通貨企業の度重なる破産申請は、仮想通貨業界内外に大きな影響を与えているとみられており、仮想通貨投資を控える流れが加速している今、仮想通貨の冬の正念場と言えそうだ。