SECは市場で詐欺に取り組むために仮想通貨ユニットを強化へ

SECが仮想通貨ユニットの強化へ

SEC(米証券取引委員会)は最近、デジタル資産市場における犯罪を取り締まる準備を整えるため、仮想通貨ユニットを強化する予定であることを5月3日付公式発表で明らかにした。

SECの発表によると、仮想通貨およびサイバーユニットに20の新しいポジションを割り当て、その規模を50の専任ポストにまで拡大。これらの新しいユニットは、仮想通貨関連の犯罪行為を特定し、責任者の告発を追求することで、投資家を保護することを目的としているとのこと。SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、今回の仮想通貨ユニットの強化について、規制されていない仮想通貨市場における不正行為を監視、仮想通貨関連の詐欺を抑制する手助けになるだろうと述べた。

仮想通貨ユニットの規模はほぼ2倍へ

ゲンスラー委員長は2021年9月、ネバダ州のキャサリン・コルテス・マストロ(Catherine Cortez Mastro)上院議員に対し、証券として認定される可能性のある6,000に上るデジタルプロジェクトを規制するためには、SECの規模を拡大する必要があるとの見解を示している

実際、これまでと比べて仮想通貨ユニットの規模はほぼ2倍になっており、SECはサイバーセキュリティに関する開示とコントロールの問題を特定し続けながら、仮想通貨市場の不正行為を取り締まるための準備を行っている。また、新たに強化されたユニットは、ICO(Initial Coin Offering:イニシャルコインオファリング)、仮想通貨取引所、レンディング(保有仮想通貨を仮想通貨取引所に貸し出し、利子を得るサービス)、ステーキング(仮想通貨を保有することで報酬が得られる)商品、DeFi(分散型金融)、NFT(非代替性トークン)、ステーブルコインなどに関連する証券法違反に焦点を当てるとのこと。

今回の発表に際してゲンスラー委員長は、規制優先事項としてNFTを具体的に挙げており、SECは、これまでNFTに関わる強制訴訟を起こしたことがないことから、大きな注目が集まっている。

SECの仮想通貨ユニットは、仮想通貨市場にICO詐欺が蔓延していた2017年に、Cyber Unitという名称で創設されて以来、仮想通貨関連の詐欺に対して80件以上の強制訴訟を起こし、約20億ドル(約2,600億円)相当を押収している。訴訟の範囲は多岐にわたっており、ICOで資金調達した企業、未登録トークンを取引する仮想通貨取引所、仮想通貨融資会社などに訴訟を起こしている。

一方で、SECの仮想通貨市場での不正行為を取り締まる試みに対して批判も集まっており、イーサリアム(Ethereum)のソフトウェア会社であるConsenSysは最近、仮想通貨取引所の定義を拡大する提案について規制当局に書簡を送っている。SECによる仮想通貨関連の取り締まりは、投資家保護につながると期待される反面、行きすぎた規制に批判の声も上がっている。