BTCの投資家がSIMスワップ詐欺の疑いでT-Mobileを訴える

T-MobilがSIMスワップ詐欺で訴訟問題に発展

米国大手の携帯電話会社の1つT-Mobileが、SIMスワップ詐欺をめぐるデジタル通貨投資家による訴訟に直面していることが明らかになった。

ペンシルベニア州で提起された訴訟によると、T-Mobileはユーザーを保護する義務を果たせず、55,000ドル(約600万円)相当のビットコイン(Bitcoin/BTC)を失ったことに対し、投資家が訴訟へと持ち込んだ。

SIMスワップとは、一種のアカウント乗っ取り詐欺として知られており、被害者が契約している携帯電話会社に連絡し、なりすますことで顧客サポートの担当者を騙し、被害者の電話番号を詐欺師が保有しているSIMカードへ移すよう仕向けるというものである。この手続きが完了すると、被害者はモバイル接続や電話番号が利用できなくなり、さらには被害者にあてられた電話やテキストメッセージを詐欺師が受け取れるようになるため、仮想通貨の紛失につながったとのこと。

仮想通貨取引所が行なっている2段階認証などのセキュリティは、一般的にスマートフォンへのSMSメッセージなどが利用されるため、簡単に仮想通貨が盗み出されてしまうとのことだ。訴訟を起こしたペンシルベニア州東部地区のリチャード・ハリス(Richard Harris)氏は次のように述べている。

この訴訟は、T-Mobileが顧客の機密性の高い個人情報や財務情報を、そのような情報を違法に取得しようとする一般的で広く報告された詐欺でありながら、しっかりとしたセキュリティがなされていなかったことに問題があります。T-Mobileは、セキュリティ手順が明示的および黙示的に法定に満たない可能性があることを認識していながら、その事実を隠蔽するようにような虚偽の陳述を行ってきました。


T-Mobilで続く訴訟

ハリス氏は、顧客情報の保護、顧客サポート担当者の過失雇用と監督、および州法と連邦法の違反について、会社を重大な過失であると非難している。

同氏は55,000ドル以上の価値があった1.63BTCを失っており、SIMが2021年7月5日頃に交換された後、Coinbaseアカウントから資金が移動されたことが分かっている。類似訴訟は他にもあり、約1年前にもSIMスワップにより870万ドル(約9億5,000万円)を失ったとして、デジタル通貨投資家のミドルトン氏が携帯電話会社相手に訴訟を起こしている。当時ミドルトン氏は、個人情報の盗難が繰り返されることに関連して、深刻な不安、恐怖、精神的苦痛に苦しんでいるとコメントしている。