「仮想通貨が長続きする可能性は低い」=イングランド銀行総裁

イングランド銀行総裁のアンドリュー・ベイリー(Andrew Bailey)氏は、通称ダボス会議で広く知られる世界経済フォーラム主催のオンラインディスカッションで、仮想通貨が長期にわたって存続する可能性は極めて低いと述べたことが明らかになった。

ベイリー氏は長期にわたり決済手段として機能し得る構造を持つ仮想通貨は、現段階では存在しないとの見方を示しており、次のように述べている。

仮想通貨がデザイン、ガバナンス、取り決めにおいて永続的なデジタル通貨とも呼ぶべき領域に到達したかと言えば、正直、まだだと思う。多くの人々が、安定した価値を持つ決済手段が使われるという安心感を持てるかという問題は、結局、銀行と法定通貨を結び付けており、法定通貨は国家と関係があることで成り立っています。

ベイリー氏は現在、仮想通貨が安定した価値を維持できないことを懸念。その理由として、法定通貨が安定した価値を提供できるのは国と国が結びついているからであり、それがない仮想通貨に価値を維持することはできないとの意見を示している。実際、ビットコインは、今月8日、4万ドルを超えて過去最高値を更新したが、先週は2万8000ドルまで値を下げており、通常の通貨よりもボラティリティー(※1)がはるかに高いことが顕著に現れている。一方で同氏は、既存の仮想通貨は十分ではないが、将来的には存在する可能性があることを示唆しており、デジタル資産の規制を強化することで存続する可能性を示した。
(※1)ボラティリティーとは、仮想通貨におけるボラティリティとは価格変動を指しており、ボラティリティが大きいと変動率が高く、小さいと変動率も低く損失も出にくく、「価格の変動差」を言う。

イギリス中央銀行も現在、デジタル通貨発行実現の可能性を検討している段階であり、プライバシーの問題など、デジタル通貨取引における適切なプライバシーの基準の議論が行われている。