安全性に焦点を当てた新しいスマートコントラクト言語「Fe」
イーサリアム開発者のソフトウェアエンジニアChristoph Burgdorf(クリストフ・バーグドルフ)氏は、開発中の新たなスマートコントラクト言語である「Fe」を発表した。
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— christoph.burgdorf.eth 🌍🇪🇺 (@cburgdorf) October 13, 2020
バーグドルフ氏は、この発表に対して次のように述べた。
最近、イーサリアムネットワークに導入されたアプリケーションの大半は、Solidityで作成されています。Solidityチームは素晴らしい仕事をしており、現在の市場シェアを維持するために、多くのことを正しく行っている事は明らかだと考えています。しかし、開発者の選択肢が増えることはエコシステムにとってもプラスになると考えています。
それに対して仮想通貨コメンテーター側の意見も一致しており、法務エンジニアであるRossCampbell氏によると、「スマートコントラクトのための新しい言語は、EVMに競争とより多くの開発者をもたらすはず。Fe言語とVyperの成長を見ることができて嬉しいです。Solidityを中心としたモノカルチャーを避けることは、このゲームのこの段階では理想的だと思われます。」と語っている。
Vyperを基盤として使用し、Fe開発者はその安全性の向上を目指す
鉄(周期表のフェラム)にちなんで名付けられた「Fe」は、もともとRust言語で書かれたイーサリアムコンパイラであるVyperのスピンオフとして考案された。しかし、「Fe」開発者は昨年、イーサリアムに焦点を当てたスタジオConsenSysが取り上げたVyperのセキュリティ上の欠陥に対処することにしている。
バーグドルフ氏は、「当初の目標は代替のVyperコンパイラを使用する事だったが、最終的に言語の構文が分岐し始め、新しい名前でクリーンカットを行うことが決定され、Feが生まれた」と説明しており、したがって、Pythonの使いやすい構文や言語の安全性の重視など、Vyperの特徴を継承しながらも、Pythonを使っていた開発者にとっては読みやすく親しみやすいものになっているようだ。
プロジェクト「Yul」
現在、「Fe」の開発者たちは、コンパイラの正しさを証明するための包括的な言語の仕様に取り組んでいる。「Fe」は、コンパイラのコンポーネントを、標準のガイドラインに従う個別のライブラリに分離することを目的としており、また、Solidityチームが開発したYulというプロジェクトを 「中間表現 」として使用することも計画されていると報告した。
「「Yul」とは、複数の低レベルプラットフォーム間の共通分母となることを目的としており、EVM 1.0、EVM 1.5、eWASM用のバックエンドを別々に作成する必要がない。YulのコンパイルにはSolidityバックエンドを使用する事によって、かなりの時間が節約できるようだ。
現時点の発表では、明確なリリース日やマイルストーンは明らかにされていないが、バーグドルフ氏は、「Feの開発はこの1ヶ月で大幅に上昇している」と指摘。そのコードの一部は、すでにTwitter上で発見されているとの事で、スマートコントラクトのコーディングを容易にするものならば今後の活用に期待されるだろう。