Polymarketの取引高の25%がウォッシュ・トレーディングの可能性
コロンビア大学の研究によると、Polymarket(ポリマーケット)の急速な拡大は、偽造取引によって促進された可能性がある事がわかった。
コロンビア大学の研究によると、Polymarketの取引高の最大60%がウォッシュトレーディングの可能性があり、予測市場における人為的な活動に対する新たな懸念が生じている。同大学が発表した「Network-Based Detection of Wash Trading(ネットワークベースのウォッシュ・トレーディング検出)」によると、予測市場であるPolymarketの急成長は、完全に自然発生的なものではなく、人為的な取引活動によって膨らんでいる可能性がある。
同論文によると、過去3年間の予測プラットフォームの取引高の約4分の1がウォッシュ・トレーディングによるものだという。このウォッシュ・トレーディングとは、同一トレーダーまたはトレーダーグループが同一資産を売買することで市場活動を水増しする行為の事だ。
同研究では、2年以上にわたるオンチェーンデータを分析した結果、ウォッシュ・トレーディングは2024年後半にはPolymarketの取引高の約60%を占めていたが、2025年10月には約20%に減少。論文作成グループによると、この活動は数カ月続いた後、一度は沈静化。しかし、ここ数週間で再び急増している。
また、特定のスポーツおよび選挙市場では、ピーク時に取引の90%以上が疑わしいと特定されており、研究者らは、彼らは過去の総取引量の約25%が人為的なものだったと推定していると記載したうえで、次のように述べている。
この活動は2025年4月下旬まで続いたが、その後大幅に減少し、2025年10月上旬には再び取引量の約20%に増加した。
取引クラスターのアルゴリズムによる検出
この調査結果は、Polymarketの爆発的な成長のどれだけが真の需要によるものなのか、それともユーザーや投資家を引き付けるために意図的に自動化された取引量によるものなのかという疑問を提起している。
コロンビア大学の研究チームは、ウォレットアドレス間で疑わしい取引パターンを特定するためのネットワークベースのアルゴリズムを開発。トレーダーが短期間でポジションを開設または決済する頻度、同様の行動を示すウォレットとやり取りする頻度を追跡。検出されたクラスターの1つは、約100万ドルの取引に関与した4万3000以上のウォレットで構成されており、ほぼすべてが1セント未満で、ウォッシュトレードの可能性が高いとフラグが付けられた。
いくつかのケースでは、トレーダーが数十のウォレット間で次々と契約を渡し、本物の取引を模倣するために損失を出すポジションを取っていたとみられている。研究者らはまた、ウォレット間で同じUSDC残高が繰り返し使用されていることにも注目。これは有機的な活動ではなく、協調的な活動であることを示唆している。
多くのウォレットは実際には利益を上げていなかったため、著者らは、金銭的な利益ではなく、トークンのエアドロップやランキング報酬といった将来のインセンティブを獲得するためだったのではないかと述べている。
ウォッシュトレーディングは、市場を操作し、投資家を誤解させることから、米国では禁止されている行為だ。しかし、匿名取引と自動化システムによって検出が困難な仮想通貨市場では、この行為が繰り返し問題となっているのが現状だ。
Polymarketはかつて調査を受けており、2022年には、未登録のバイナリーオプション市場を提供していたとして、CFTC(米国商品先物取引委員会)との訴訟を和解。
これらの疑惑はPolymarketの取引データに疑問を投げかけ、急成長に対する投資家の楽観的な見方を煽っている。コロンビア大学の研究は、水増しされた取引量はトレーダーのセンチメントや市場の厚みに対する認識を歪める可能性があると述べている。























