ゴールドマン・サックス元幹部が仮想通貨カジノ詐欺容疑で逮捕される
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)元幹部のリチャード・キム(Richard Kim)氏は、ブロックチェーンベースのオンラインカジノスタートアップ「ZeroEdge」の投資家から400万ドル(約5.7億円)以上を横領したとして、電信詐欺と証券詐欺の容疑で逮捕、起訴された。
FBI(Federal Bureau of Investigation:米国連邦捜査局)のトーマス・マグワイア(Thomas McGuire)特別捜査官が提出した宣誓供述書によると、2024年3月にZero Edge(ゼロ・エッジ)を設立。ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)の元幹部、ゴールドマン・サックスとJPモルガン(J.P. Morgan)でグローバル外国為替・新興市場取引担当COO(Chief Operating Officer:最高執行責任者)を務めたキム氏は、弁護士、そして一流トレーダーというさまざまなな肩書を有する凄腕の人物として広く知られていた。
その同氏がZero Edgeを設立後、オンチェーンゲーム、仮想通貨「FAITH」、取引可能なトークン「RNG」を提供する仮想通貨カジノとして同社を宣伝。2024年3月から6月にかけて、シードラウンドとトークンセールを通じて430万ドル(約6億円)を調達し、スマートコントラクト、カジノゲームの仕組み、ゲームおよび証券規制への準拠を含む開発ロードマップを投資家に提案した。
投資家資金の不正流用
検察は、キム氏が投資家資金の使途を虚偽に申告し、投機的な仮想通貨取引を含む不正な目的に資金を流用したと主張している。
FBIの捜査により、同氏は正式な契約書やトークン販売書類において、資金はプラットフォーム構築のみに充てられると約束していたことが判明。少なくとも1人の投資家は、資金が実質的に同氏への個人融資であることを知っていたら投資しなかったと当局に主張している。
同氏はまた、Greenberg Traurig(グリーンバーグ・トラウリグ)などの法律事務所による法的レビューを引用し、投資家の規制遵守を保証した。しかし、訴状によると、いくつかの重要な契約は完全に履行されていなかったか、財務の透明性と内部統制に関する義務を削除するために変更されていたという。
FBIはキム氏を連邦証券法第18条に基づき、電信詐欺および証券詐欺の罪で訴追されており、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所(SDNY)で裁判を受けている。同氏による犯罪は、仮想通貨関連犯罪の中では軽微な部類に入るかもしれないが、連邦政府が実際に彼を起訴しようとすることは注目に値する。
同氏は現在保釈されているが、カジノの破綻による影響は依然として残っており、結果がどうであれ、この結果は米国の仮想通貨執行にとって重要なデータとなるとみられる。