米国で仮想通貨ATMの詐欺が増加
OCCRP(Organized Crime and Corruption Reporting Project:組織犯罪・汚職報告プロジェクト)とマイアミ・ヘラルド紙による最新レポートによると、詐欺師は米国で仮想通貨ATMを利用して数百万ドルを盗んでおり、ATMを利用した詐欺が増加している事がわかった。
ある事例で、シカゴ在住の高齢女性がFTC(Federal Trade Commission agent:連邦取引委員会)の職員を装った詐欺師に現金9,000ドル(約142万円)を奪われた事件が発生。奪われた資金はオフショアの仮想通貨ウォレットに保管され、女性はそれを取り戻せていないという。
FBI(連邦捜査局)は、史上初の全国規模の損失推計を発表。OCCRPに対し、仮想通貨ATM詐欺により2023年に一般市民から1億2,000万ドル(約190億円)以上が盗まれたと語っており、この数字には国家安全保障やマネーロンダリング(資金洗浄)に関連するリスクは含まれていない。
仮想通貨ATM詐欺は追跡困難
OCCRPによると、仮想通貨ATMまたは仮想通貨出納機に関連する詐欺の増加は、いくつかの要因によるものとみられる。
その1つは、ほとんどの仮想通貨ATM運営業者が厳格な身元確認要件を課していない点だ。各州の間で規制が一貫されていない問題もあるが、海外に拠点を置く詐欺師の場合、“足跡を隠す”のが容易なため、このような金融犯罪を犯すのが容易になっている。当局は、オンチェーンの仮想通貨送金は追跡可能であると述べているが、詐欺師は、ミキサーやブリッジなど、コイン追跡を困難にする難読化戦術を採用していると付け加えている。
FBIによると、2023年に一般市民が報告した仮想通貨ATM事件は4,300件を超え、そのうち2,000件は60歳以上のユーザーによるもので、これらの事件のうち、何らかの賠償に至るのはわずか10%と、依然として追跡が困難な状況である。
米国に3万1千台以上の仮想通貨ATM
法執行機関によると、国内の設置台数の急増に伴い、ビットコイン(Bitcoin/BTC)ATMでの詐欺が増加している。
市場データプラットフォームCoinATMRadarは、米国には3万2500台以上のATMが設置されていると推定しており、2021年11月の2万6000台、2020年1月のわずか4210台から増加。仮想通貨ATM詐欺の増加にもかかわらず、多くの大規模な逮捕や起訴が行われており、ニューヨークの裁判所は2024年4月、仮想通貨ATMを使用して指定された犯罪グループに1万8,000ドル(約285万円)を流用したとして告発されたビクトリア・ジェイコブス(Victoria Jacobs)に懲役18年の刑を言い渡している。