スペイン財務省が新税制改革で仮想通貨とNFTに焦点
ヨーロッパ全土に波及する可能性のある動きとして、スペイン財務省は、新たな税制改革の一環として、仮想通貨およびNFT(非代替性トークン)を押収する権限を強化することを目指している事が分かった。
スペインの日刊紙El Economista(エル・エコノミスタ)の報道によると、スペイン財務省は、納税を怠った場合、仮想通貨やデジタル収集品を差し押さえる新たな権限を与える新税制改革を推進する準備を進めているとのこと。報告書によると、同省は一般税法、特に第162条の改正を提案しており、ユーザー債務の実行時に地方税庁当局に仮想通貨を差し押さえる権限を与えるものとなっている。
さらに、仮想通貨の禁輸を可能にするため、一般徴収規則の修正が提案されている事にも注目が集まっている。同紙は、同省がすでに納税者の仮想通貨保有に関する情報を把握していると指摘。今年(2024年)から個人や企業は海外で保有する仮想通貨を申告する義務があると付け加えた。
スペインは仮想通貨規制の最前線
スペインはこれまで、仮想通貨に対する包括的な税務規制を施行することで、欧州諸国の中で先駆的な役割を果たしてきた。
納税者は個人所得税申告で仮想通貨に関連する損益に対して税金を支払う義務がある。また、仮想通貨の富裕税申告は、2024年3月までにする必要があり、この申告義務は、仮想通貨の保有額が50,000ユーロ(約80万円)を超える人に適用されるという。さらに、MetaMask(メタマスク)やLedger(レジャー)など、自己保管ウォレットに保管している個人の場合、既存の富裕税フォームであるフォーム 714 が申告用に指定されているとのことだ。
スペインは仮想通貨規制に対する積極的な姿勢により、同国を欧州連合内の最前線に位置しており、2025年後半に発効するEU(欧州連合)全体のMiCA枠組みに先駆けて、独自の仮想通貨規制枠組みを導入している。今回の先制的なアプローチは、仮想通貨分野で明確な規制を確立するというスペインの取り組みを強調。スペインの税務当局は2023年に仮想通貨の申告を怠った住民に対して32万5,000件以上の警告を発し、2022年に発令された15万件の警告から大幅に増加。これは、政府が仮想通貨税務におけるコンプライアンスの確保にますます注力していることを浮き彫りにしている。
仮想通貨の規制と課税に対するスペインの取り組みは注目に値するが、潜在的な課題もいくつか残されている。これらの変更を迅速に実施すると規制上の障害が生じる可能性があり、有効性を確保し、意図しない結果を最小限に抑えるために慎重な調整が必要になる。また、さ取引所プラットフォームの外部に保管されている自己保管暗号資産を正確に追跡および押収することは、そのようなウォレットに伴う固有の匿名性により困難であることが判明する可能性がある。
スペインの動きは、仮想通貨の監視と課税の枠組みの確立を目指す他の国々にとっての前例となる可能性も。世界の仮想通貨市場が進化し続ける中、スペインの積極的なアプローチは、規制の複雑さを乗り越える世界中の政策立案者に貴重な洞察を提供すると期待されている。