ウクライナが仮想通貨を使用して調達した驚異的な金額

ウクライナの仮想通貨による資金調達額

内戦で荒廃したウクライナは、ロシアとの戦いを続ける中、支持者から2億2,500万ドル(約318.7億円)以上相当の仮想通貨を受け取ったことが明らかになった。

ウクライナの寄付の一部は、仮想通貨業界の著名な企業や人物から来ている。取引量で世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンス(Binance)は、ウクライナでの取り組みを支援するため、2022年2月にユニセフ、国連難民高等弁務官事務所などの機関に1,000万ドル(約14億円)相当の仮想通貨を寄付している。

実際、ポルカドット(Polkadot/DOT)の共同創設者ギャビン・ウッド(Gavin Wood)氏と、トロン(Tron)の創設者ジャスティン・サン(Justin Sun)氏は、それぞれ500万ドル(約7億円)相当のDOTと20万ドル(約2,800万円)相当のテザー(Tether/USDT)を寄付したことが公表されている。また、イーサリアム(Ethereum)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏も、ロシア生まれにもかかわらず、すぐにウクライナ国民への支援を示し、500万ドル相当のETHを寄付。開戦当初、ブテリン氏はツイートでプーチン大統領の行動と対ウクライナ戦争をウクライナとロシア国民に対する犯罪と表現しており、痛烈に批判している。

軍事紛争以降のウクライナが受け取った仮想通貨寄付の内訳

当局はこれらの資金を弾薬や医療機器、武器、その他の戦争物資の購入に使用し、ロシアの侵略に抵抗し続けており、ロシアとの軍事紛争が始まって以降、ウクライナは2億5,000万ドル(約354億円)の仮想通貨を寄付として受け取っている。

しかし、これらの仮想通貨寄付のほとんどは2022年(戦争開始時)に行われたものであり、2022年末から2023年初めにかけて寄付は冷え込んでいる。報告書によると、ウクライナが5月以降受け取った仮想通貨は1,000万ドル(約14億円)未満とのこと。2022年3月はウクライナへの寄付が最も成功した時期と報告されており、同国は1億ドル(約141億円)近くを集めている。ロシア軍がウクライナに侵攻した2022年2月は、同国が3,000万ドル(約42.5億円)以上相当の仮想通貨を受け取ったとして2位にランクされている。

また、仮想通貨による寄付8,300万ドル(約117.7億円)のほとんどが USDT によるものであると推定されており、2位はイーサリアム(Ethereum/ETH)で寄付額の7,900万ドル(約112億円)を占め、ビットコイン(Bitcoin/BTC)はおよそ4,100万ドル(約58億円)で3位となっている。

ロシアの仮想通貨寄付状況

一方、ロシアはロシア人や海外の一部の支援者からも仮想通貨の寄付を受け取っており、仮想通貨の寄付という点では取り残されてはいない。

しかし、ロシアの資金調達活動はより秘密裏に行われており、このこととロシアの行動に対する世界的な非難が、ウクライナの仮想通貨寄付がロシアの寄付を大幅に上回った理由ではないかとみられている。さらに、ロシアが調達した金額にも矛盾が続いており、報告書によれば、ロシア軍はおよそ200万ドル(約2.8億円)相当の仮想通貨しか受け取っておらず、2023年3月、ブロックチェーン分析会社エリプティック(Elliptic)は、ロシア軍が受け取ったデジタル資産は500万ドル(約7億円)未満と報告している。

東ヨーロッパの国での戦争は世界中に反響を呼び、仮想通貨エコシステムの一部である多くの人々や組織がウクライナの取り組みを支援するようになったが、2023年に入ってから戦争の長期化によりその寄付額は大幅に減少しているようだ。